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相続・事業承継コラム
作成日:2025.04.09
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

貸家建付地とは?相続税評価減と計算方法【2026年】|税理士が解説

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貸家建付地とは?相続税評価減と計算方法【2026年】|税理士が解説

貸家建付地とは、賃貸アパートや賃貸マンションなど「貸家」の敷地として使われている土地を指します。相続税評価では、借主がいる分だけ利用制約があるため、自用地(更地)よりも評価額が下がるのが基本です。
一方で、空室や社宅の扱い、賃貸割合の算定などで判断を誤ると、申告後に修正が必要になるケースも見られます。地主・不動産オーナーにとっては「減額できるか」よりも「減額を裏付けられるか」が課題になりやすい論点です。

貸家建付地とは(定義と該当する土地)

貸家建付地は、国税庁の整理では「貸家の敷地の用に供されている宅地」で、典型例は自分の土地に建てたアパートやビルを第三者に賃貸している場合の敷地です。評価の対象は、借家権の目的となっている家屋の敷地である点が重要です。

ここがポイント
「社宅」は一般に借地借家法の適用がないとされるケースがあり、国税庁も「社宅の敷地は貸家建付地ではなく自用地評価」となる旨を示しています。名目が社宅でも、契約形態・賃料・使用実態で結論が変わり得るため、契約書と運用実態の整合が要点です。

貸家建付地の評価が減額される理由(自用地との違い)

貸家建付地の評価が下がる実務的な理由は、土地の価値が「自由に使える状態」より低いとみなされるためです。賃貸中の建物があると、相続人は土地を即時に更地化して自由利用することが難しく、賃借人保護(契約期間・明渡し交渉等)の影響を受けます。

土地の区分は似た名称が多いため、まずは全体像を整理しておくと安全です。

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区分典型例相続税評価の考え方
自用地(更地)他人の権利が付いていない土地基本評価(路線価方式・倍率方式)をそのまま適用
貸家建付地自分の土地に建てたアパート等を賃貸自用地価額から一定割合を控除して減額
貸宅地(貸地)他人に土地を貸し、借地人が建物所有土地側に借地権が付く前提で評価(別ロジック)

貸家建付地の計算方法(算式・具体例つき)

国税庁の算式は次のとおりです。ここが本テーマの核心です。

  • 貸家建付地の価額 = 自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合
    すなわち、自用地価額 ×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) です。

借家権割合は、令和6年分では全国一律で30%とされている旨が国税庁の案内で明記されています(年分により確認)。借地権割合・借家権割合は「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」で確認します。

Step 1: 自用地としての価額を算定する
路線価地域なら「路線価×地積×各種補正」、倍率地域なら「固定資産税評価額×倍率」等で自用地価額を出します(評価方式の選択は地域で決まります)。

Step 2: 借地権割合・借家権割合を確認する
借地権割合は地域ごとに異なり、路線価図等に表示されます。借家権割合も財産評価基準書で確認します。借家権割合は原則30%が多い一方、年分・地域の指定に従って必ず根拠資料を残します。

Step 3: 賃貸割合(賃貸中の割合)を計算する
賃貸割合は、独立部分がある建物では「賃貸されている独立部分の床面積の合計 ÷ 独立部分の床面積の合計」といった考え方で算定します。
当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、賃貸割合の計算根拠(間取り図・賃貸借契約・入退去履歴)が弱く、減額が否認されかけた相談が定期的にあります。

Step 4: 算式に当てはめて評価額を算定する(例)
前提:自用地価額8,000万円、借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合80%
控除率=0.70×0.30×0.80=0.168
貸家建付地価額=8,000万円×(1-0.168)=8,000万円×0.832=6,656万円
この例では、差額1,344万円が評価減のイメージになります(実際の税額は相続人構成・他財産・特例適用で変動)。

ここがポイント
空室がある場合でも、課税時期の前後が短期間で、募集状況や利用実態から「一時的な空室」と認められるときは、課税時期にも賃貸されていたものとして取り扱える旨が国税庁で示されています。空室期間、募集の証跡(募集媒体・募集開始日)、他用途利用の有無が実務の争点です。

よくある注意点(空室・一部自己使用・契約不備)

  • 空室の扱い
    「たまたま死亡時点で空室だった」という局面はよく起きます。重要なのは、空室が一時的であることを客観資料で説明できるかです。
  • 一部自己使用(オーナー住戸、倉庫、事務所等)
    賃貸割合が100%にならないため、減額が薄まります。図面と用途、賃貸借の範囲が一致しているか確認が必要です。
  • 名目と実態の不一致
    社宅・親族貸し・無償提供など、契約実態が賃貸といえるかが問われます。相続税評価は「形式」よりも「実態」を見られやすい領域です。
  • 「土地だけ貸している」ケースとの混同
    借地(貸宅地)は貸家建付地とは算式が異なります。同じアパートでも、土地所有者が誰か、建物所有者が誰かで結論が変わります。

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アパート相続税での位置づけ(他の特例との関係)

貸家建付地は、それ単体で評価減が生じる「評価区分」です。いわゆる節税策というより、正しい区分で評価すれば自然に反映される減額と位置づけた方が安全です。
また、相続税全体では土地の利用区分や同居要件等により、別途「小規模宅地等の特例」などの検討が絡む場面があります。ただし、特例は要件判定が厳密で、適用可否の判断を誤ると修正申告や追徴のリスクが上がるため、評価(貸家建付地)と特例(小規模宅地等)を切り分けて検討することが実務上重要です。

よくある質問

Q: 貸家建付地の減額は自動で認められますか? ▼

A:

申告書上は算式で計算しますが、「賃貸していた事実」と「賃貸割合の根拠」が弱いと説明を求められます。賃貸借契約書、入金記録、募集資料、図面などをセットで保存しておくと実務対応が安定します。
Q: 死亡時点で空室だった部屋は賃貸割合から除外されますか? ▼

A:

一律に除外ではありません。課税時期の前後で短期の空室で、継続賃貸・募集実施・他用途不使用などの事情がそろえば、課税時期にも賃貸されていたものとして扱える考え方が示されています。空室の経緯を説明できる資料が鍵です。
Q: 借家権割合は必ず30%ですか? ▼

A:

借家権割合は国税庁が定め、財産評価基準書で確認します。国税庁の案内では、令和6年分は全都道府県で30%とされていますが、年分の指定に従い最新の基準で確認してください。

まとめ

  • 貸家建付地は、賃貸アパート等の敷地で、自用地より評価が下がる区分
  • 評価は「自用地価額-自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で計算する
  • 賃貸割合は独立部分の賃貸状況で決まり、図面・契約・入金等の根拠資料が重要
  • 空室でも「一時的」と説明できれば賃貸扱いできる可能性がある
  • 社宅などは貸家建付地にならないケースがあるため、名目と実態の確認が必須

参照ソース

  • 国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナー よくある質問(借家権割合)」: https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru_sp/zoyokobetu/tochihyokameisai/scid2149.html
  • 国税庁「財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)」: https://www.rosenka.nta.go.jp/

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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