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相続・事業承継コラム
作成日:2025.07.17
更新日:2026.01.02
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

"公正証書遺言の作り方完全ガイド|費用・必要書類・メリット"

10分で読めます
"公正証書遺言の作り方完全ガイド|費用・必要書類・メリット"

公正証書遺言は、相続トラブルを抑えたい人にとって有力な選択肢です。一方で「どう作る?」「必要書類は?」「費用はいくら?」が分からず、検討が止まりがちです。本記事では、公正証書遺言の基本から、作り方、費用の考え方、書類準備の勘どころまで、実務の流れでまとめます。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認し、公正証書として作成する遺言です。自筆証書遺言と比べて形式不備リスクを下げやすく、原本が公証役場側で管理される点が特徴です。

また、相続開始後の手続き面で大きいのが「検認」です。裁判所の案内では、公正証書による遺言は検認不要とされています。

ポイント
相続発生後の「最初の詰まりどころ」になりやすい検認が不要になるのは、手続きのスピードとストレスの両面で効きます。

公正証書遺言のメリット・デメリット

メリット

  • 検認が不要で、相続手続きに早く入れる(自筆証書でも法務局保管+証明書なら不要の場合あり)
  • 公証人関与により、形式不備による無効リスクを抑えやすい
  • 原本が公証役場で保管され、紛失・改ざんリスクを抑えやすい
  • 高齢・病気などで筆記が難しい場合でも設計しやすい(出張対応の余地あり)

デメリット(注意点)

  • 費用がかかる(財産額・受取人の数で増える)
  • 証人の手配が必要(身内が利害関係に当たると不適切になり得るため、手配に工夫が必要)
  • 内容設計が甘いと「争いの火種」は残る(遺留分、付言事項、遺言執行者などの設計が重要)

公正証書遺言の費用|内訳と目安

公正証書遺言の費用は、大きく次の要素で構成されます。

  • 公証人手数料(本体):法律行為の目的価額に応じた手数料(別表)
  • 遺言加算:遺言の作成は原則として1万1,000円加算(一定条件あり)
  • 出張日当・旅費(必要時):日当は1日2万円(4時間以内は1万円)+交通実費など
  • 謄本(正本・謄本)交付、証人手配などの実費(運用は公証役場ごとに案内)

目安をつかむための「手数料テーブル」(抜粋)

公証人手数料令の別表は、目的価額ごとに金額が定められています。

←横にスクロールできます→
法律行為の目的価額手数料(抜粋)
100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下11,000円
500万円超〜1,000万円以下17,000円
1,000万円超〜3,000万円以下23,000円
3,000万円超〜5,000万円以下29,000円
5,000万円超〜1億円以下43,000円
1億円超〜3億円以下43,000円+超過5,000万円ごとに13,000円加算
3億円超〜10億円以下95,000円+超過5,000万円ごとに11,000円加算
10億円超249,000円+超過5,000万円ごとに8,000円加算

ざっくり試算例(イメージ)

例:配偶者に2,000万円、子に1,000万円を相続させる内容(目的価額の区分に当てはめるイメージ)

  • 2,000万円 → 23,000円(1,000万超〜3,000万以下)
  • 1,000万円 → 17,000円(500万超〜1,000万以下)
  • 小計 40,000円 + 遺言加算 11,000円 → 51,000円(+実費等)

ポイント
費用は「財産総額」だけでなく「受取人の数・配分」で動くため、分け方次第で手数料イメージが変わります。

必要書類チェックリスト(準備のコツ)

公正証書遺言で実務的に求められやすい情報・資料は次のとおりです(最終的な要否は公証役場の案内に従います)。

1) 本人確認・同一性確認

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
  • 印鑑(押印が必要になる場面が多い)

2) 相続関係を特定する資料

  • 戸籍関係(誰が相続人になるかを確定するため)
  • 住民票等(住所確認)

3) 財産を特定する資料(「特定できること」が重要)

  • 不動産:登記事項証明書、固定資産評価証明書など
  • 預貯金:金融機関名・支店・口座番号が分かるもの(通帳写し等)
  • 有価証券:銘柄・口座情報が分かる資料
  • その他:自動車、保険、事業用資産などは特定情報(契約番号等)

4) 証人に関する準備

  • 証人2名の氏名・住所・生年月日等(公証役場で手配できる場合もあります)

補足(代替策)
「自筆証書遺言+法務局保管制度」を使う場合、手数料は3,900円と案内されています。
方式・リスク・費用のバランスで比較検討すると合理的です。

公正証書遺言の作り方|手続きの流れ(5ステップ)

公正証書遺言の作成は、「内容設計」と「書類整備」を先に固めるほどスムーズです。

  1. 遺言内容の設計

    • 誰に何を渡すか(財産の特定)
    • 遺留分への配慮、分けにくい財産(不動産等)の扱い
    • 必要に応じて遺言執行者、付言事項を検討
  2. 必要書類・財産資料の収集

    • 戸籍・不動産・金融資産などを整理
    • 財産一覧(棚卸し)を作ると公証役場とのやり取りが速い
  3. 公証役場へ事前相談(予約)

    • 口頭で概要を伝え、必要資料・費用レンジ・当日の持参物を確認
  4. 案文(遺言案)の調整

    • 公証役場の指示に沿って、表現・特定情報を整備
    • 曖昧な表現(「全部」「適宜」など)を避けるのが基本
  5. 作成当日:本人・証人立会いで作成

    • 内容確認 → 署名押印等 → 正本・謄本の受領
    • 病院等での作成が必要なら、出張日当・旅費が発生し得ます

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公正証書遺言と他方式の比較表

「何を優先するか」で最適解が変わります。費用と手続き負荷の両面で比較しましょう。

←横にスクロールできます→
方式費用感紛失・改ざんリスク検認向いているケース
公正証書遺言手数料+実費(財産額等で変動)低め(原本保管)不要争いを避けたい/確実性優先
自筆証書遺言(保管なし)低い高め原則必要(例外あり)まずは簡易に作りたい
自筆証書遺言(法務局保管)3,900円低め証明書なら不要コスト抑制+一定の安心が欲しい

よくある質問(FAQ)

Q1. 公正証書遺言は相続発生後に何が楽になりますか?

家庭裁判所での検認が不要となり、相続手続きを進めやすくなります。

Q2. 費用はどのタイミングで増えやすいですか?

受取人が多い、配分が細かい、高額資産が含まれる、出張が必要(病院・施設等)といった場合に増えやすいです。出張日当・旅費の考え方は公証人手数料令に定めがあります。

Q3. まずは費用を抑えたい場合の現実的な選択肢は?

自筆証書遺言を作成し、法務局の保管制度を利用する方法があります(手数料3,900円)。
ただし、内容設計(遺留分、財産特定、執行のしやすさ)は別途検討が必要です。

まとめ|公正証書遺言で失敗しない要点

  • 公正証書遺言は、検認不要で相続手続きを前に進めやすい
  • 費用は「手数料テーブル+遺言加算(1万1,000円)+実費」が基本
  • 出張が必要なら日当・旅費が追加(1日2万円、4時間以内1万円など)
  • 必要書類は「相続関係」「財産特定」「本人確認」を軸に、早めに棚卸しする
  • コスト重視なら「自筆証書+法務局保管(3,900円)」も比較対象

参照ソース(URLはgo.jpのみ)

  • https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
  • https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/download/4375/04/h05Bc002240204ja15.0_r4C249.pdf
  • https://houmukyoku.moj.go.jp/hakodate/content/001422138.pdf
  • https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
  • https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/table/kousyou/all.html

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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