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相続・事業承継コラム
作成日:2026.02.08
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

相続税時効は何年?税務署が遡る更正・決定期間|税理士が解説

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相続税時効は何年?税務署が遡る更正・決定期間|税理士が解説

相続税の「時効」は何年?結論は「原則5年、例外7年」

相続税の「時効」を一言でいうと、税務署が相続税を課税(更正・決定)できる期間は原則5年で、偽りその他不正の行為があるなど一定の場合は7年に延びます。
一方で、納税者側が「払い過ぎたので返してほしい」と求める期限(更正の請求期間)は、相続税は原則5年です。

ここで注意したいのは、世間で「相続税の時効」と呼ばれがちなものが、実務では少なくとも次の2つに分かれる点です。

  • 税務署が課税処分できる期限:更正・決定の「除斥期間」
  • 納税者が減額(還付)を求める期限:更正の請求期間

さらに、納付した税金を取り立てる権利(徴収権)の時効という別概念もあります。混同すると判断を誤りやすいため、順番に整理します。

相続税の「除斥期間」とは(税務署が遡れる期間)

除斥期間とは、税務署が相続税について「更正(申告内容の修正)」や「決定(無申告などの場合の税額確定)」をできる期限を指します。期限を過ぎると、原則として税務署は課税処分できません。

一般論としては次の整理になります。

  • 申告がある(期限内・期限後を問わず)→ 調査結果に応じて「更正」
  • 無申告 → 税務署が「決定」
ここがポイント
実務では「5年だから放置しておけば安全」という発想が一番危険です。調査の着手や不正認定、関連取引の波及などで状況が変わり得るため、放置による時効待ちはおすすめできません。個別事情で判断が分かれます。

相続税の時効は5年?7年?(相続税 時効 5年・相続税 除斥期間)

「相続税の時効は5年」と言われる根拠は、除斥期間が原則5年であるためです。
ただし、偽りその他不正の行為がある場合などは7年に延長されます。

整理のため、税務署側の期間と、納税者側の期間を同じ表で比較します。

←横にスクロールできます→
論点期間の目安起算点(原則)代表例
税務署が課税できる期間(更正・決定の除斥期間)原則5年(例外7年)法定申告期限から申告漏れが見つかった、無申告が発覚した
納税者が返してもらう期限(更正の請求期間)原則5年法定申告期限から財産評価の誤り、特例適用漏れで過大納税
税金を取り立てる権利(徴収権の消滅時効)原則5年(中断・更新あり)徴収できる日から納付が遅れて滞納処分・催告が入る

ポイントは、検索意図で多い「税務署は何年遡れる?」は、基本的に1行目(除斥期間)を見に行く、ということです。

更正期間と更正の請求期間の違い(更正期間と除斥期間の違い)

用語が似ていますが、方向が逆です。

  • 税務署側:申告を増やす/直すための処分 → 更正(または決定)
    これをできる期限が「更正・決定の除斥期間」
  • 納税者側:申告を減らす/返してもらうための手続 → 更正の請求
    これをできる期限が「更正の請求期間」

当法人の相続税相談でも、「税務署の5年」と「更正の請求の5年」を同じものだと思い込み、還付チャンスを逃しかけたケースが定期的にあります。特に遺産分割のやり直しや評価見直しが絡むと、判断が難しくなります。

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相続税が無申告の場合の時効(相続税 無申告 時効)

無申告だと「更正」ではなく、税務署が「決定」により税額を確定する方向になります。ここでもポイントは、税務署の処分に期限がある(除斥期間)一方で、無申告状態を放置すると加算税・延滞税などのリスクが上がりやすいことです。

よくある誤解は次の2つです。

  • 「申告していないから時効が進まない」
    → 進まないと決めつけるのは危険です。期限や例外は要件認定が絡みます。
  • 「5年経てば絶対に逃げ切れる」
    → そもそも逃げ切り発想自体がハイリスクです。不正認定・調査範囲の拡大などで、結論が変わることがあります。

無申告が疑われる場合は、まず現状把握(財産・名義・過去贈与・預金移動)と、期限の見立てを行い、適法な対応(期限後申告・修正申告・更正の請求の検討など)に落とし込むのが現実的です。

「時効」を意識した実務の動き方(チェック手順)

「税務署が遡れるか?」と同じくらい重要なのが、「今、何をすべきか」です。迷ったら次の順で整理すると、論点が分解できます。

Step 1: まずどの時効の話かを確定する

  • 税務署から指摘が来そう(追徴リスク)→ 除斥期間(更正・決定)
  • 払い過ぎを取り戻したい(還付)→ 更正の請求期間
  • 既に納付済みで滞納がある → 徴収権の時効(ただし中断・更新に注意)

Step 2: 起算点をそろえる(原則は法定申告期限)

相続税は原則として「死亡を知った日の翌日から10か月」が法定申告期限です。まずここを確定し、そこから年数を数えます。

Step 3: 例外(7年など)に該当し得る事情を棚卸しする

  • 申告内容に意図的な隠匿・仮装が疑われる事情がないか
  • 海外資産・名義預金・多額の現金移動など、調査論点が多くないか

Step 4: 手続の選択肢を決める

  • 期限内なら:修正申告/更正の請求
  • 期限後なら:期限後申告+加算税・延滞税見込み
  • 争点があるなら:不服申立て(再調査の請求・審査請求)も視野
ここがポイント
「時効かどうか」だけで結論を出さず、加算税・延滞税、名義財産の立証、遺産分割の状況なども含めて総合判断しましょう。ここは税理士の関与価値が出やすい領域です。

よくある質問

Q: 相続税の時効は本当に5年ですか? ▼
「税務署が課税できる期間(更正・決定の除斥期間)」は原則5年ですが、偽りその他不正の行為がある場合など一定の要件で7年になることがあります。目的(追徴リスクか、還付か)で見るべき期間も変わります。
Q: 相続税を払い過ぎた場合、いつまで返してもらえますか? ▼
相続税の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。評価誤りや特例適用漏れなどがある場合は、この期限内に更正の請求を検討します(後発的事由の特例もあり得ます)。
Q: 無申告のまま放置して、時効を待つのはありですか? ▼
おすすめしません。無申告は加算税・延滞税の対象になり得るほか、調査対応コストも跳ね上がりやすいです。状況によっては7年の論点も出ます。早期に資料を整え、適法な手続(期限後申告等)を検討するのが現実的です。

まとめ

  • 相続税の「時効」は一律ではなく、論点ごとに期間が違う
  • 税務署が課税できる除斥期間は原則5年、一定の場合は7年
  • 納税者が返してもらう更正の請求は原則5年
  • 「無申告だから大丈夫」「5年経てば安全」という思い込みは危険
  • 起算点(法定申告期限)と例外事情をそろえて、手続選択まで落とし込む

参照ソース

  • 国税庁「相続税及び贈与税の更正の請求手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/1585-10.htm
  • 財務省「更正・決定の除斥期間、更正の請求期間(資料PDF)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_2.pdf
  • 国税庁「第72条関係 国税の徴収権の消滅時効(通達)」: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/07/02/72.htm

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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