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相続・事業承継コラム
作成日:2026.01.24
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

遺言書 書き方と種類比較|自筆証書・公正証書を解説

8分で読めます
遺言書 書き方と種類比較|自筆証書・公正証書を解説

遺言書の書き方は「方式」と「保管」が核心です

遺言書の書き方で最も重要なのは、法律で定められた方式を満たし、作成後に紛失・改ざんリスクを下げることです。とくに自筆証書遺言は、要件を外すと無効になる可能性がある一方、法務局の保管制度を使えば安全性が大きく上がります。公正証書遺言は費用がかかる反面、方式の確実性と執行のしやすさが強みです。

税理士法人 辻総合会計では、相続・事業承継のご相談を継続的に受ける中で、「書いたが要件不備で使えなかった」「保管場所が分からず相続人が揉めた」というケースを繰り返し見てきました。誰にとって何が問題かと言えば、遺言者にとっては意向が実現されないリスク、相続人にとっては争いの火種が増えるリスクです。

遺言書の種類と特徴

遺言書には複数の方式がありますが、一般の方が現実的に選ぶのは主に次の2つです。

  • 自筆証書遺言(自分で書く)
  • 公正証書遺言(公証役場で作る)

補助的な選択肢として、作成した自筆証書遺言を法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」があります。保管制度は方式そのものではなく、保管と検索性を制度で担保する仕組みと理解すると整理しやすいでしょう。

ここがポイント
「どれが正解か」は資産内容と家族関係で変わります。争点になりやすい(再婚・内縁、前婚の子、同居親族、事業承継、収益不動産が多い)場合ほど、公正証書遺言の優先度が上がるのが実務の経験則です。

自筆証書遺言の要件(ロングテール:自筆証書遺言 要件)

自筆証書遺言は、民法の定める方式に従う必要があります。法務省の解説でも、遺言書の本文は「全文・日付・氏名を自書し、押印する」ことが基本とされています(あわせて、財産目録には例外がある点が整理されています)。【自筆証書遺言 要件】はここが最重要です。
また、改正により、相続財産の目録(財産目録)については、一定の条件でパソコン作成や資料添付が可能になっています(ただし各ページの署名押印が必要)。

自筆証書遺言の「必須要件」チェック

  • 遺言書の本文:遺言者が全文を自書
  • 日付:自書(作成日が特定できる形)
  • 氏名:自書
  • 押印:必要
  • 訂正:定められた方式での訂正が必要(自己流の二重線等はリスク)

財産目録だけは「自書でなくてもよい」例外

法務省の整理では、財産目録は自書でなくてもよい一方で、財産目録の各頁に署名押印が必要とされています。登記事項証明書や通帳コピー等を財産目録として添付することも想定されています。

公正証書遺言の特徴と作成の流れ(ロングテール:公正証書遺言 費用)

公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言です。最大の強みは、方式面の確実性と証拠力です。相続発生後、相続人が遺言内容を実行する場面でも、手続が比較的スムーズになりやすい傾向があります。

公正証書遺言の費用の考え方

費用は「公証人手数料令」に基づく手数料が中心で、遺言の対象財産の価額に応じて算定されます。手数料の基礎となる区分(別表)により、目的価額に応じた手数料が定められている点がポイントです。
なお、手数料は法令改正により変動し得るため、最新の金額は公証役場で確認してください(本記事では制度理解のための考え方を中心に解説します)。

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遺言書を自分で書くなら、自筆証書遺言の方式要件(全文自書・日付・署名押印)を外すと無効になり得ます。訂正方法、財産目録の作り方、法務局の保管制度と検認の要否まで、実務の落とし穴を整理します。遺言書の書き方で最も重要なのは、形式ミスで遺言書が無効にならないようにすることです、自筆証書遺言は手軽ですが。

続きを読む

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い(比較表)

←横にスクロールできます→
項目自筆証書遺言公正証書遺言
作成の手間自分で作成(要件確認が必要)公証人主導で作成(必要資料は準備)
無効リスク方式不備で無効になり得る方式面のリスクが小さい
保管の安全性自宅保管だと紛失・改ざんリスク原本は公証役場で保管される
費用感低コスト(保管制度利用は手数料あり)手数料・証人等で相対的に高い
向いている例争点が少ない、まず形にしたい争点があり得る、確実性重視

書き方の実務手順(ステップ形式)

ここでは「まず有効に作る」ための手順を、実務の流れで整理します。

自筆証書遺言の書き方(基本手順)

Step 1: 目的を明確化する
誰に何を残すか(配偶者・子・孫・第三者、寄付等)を決め、財産と相続人を棚卸しします。

Step 2: 本文を全文自書で作成する
本文は全文自書が原則です。日付・氏名・押印を漏らさないことが重要です。

Step 3: 財産目録を整備する(必要な場合)
財産が多い場合は財産目録を添付します。目録を自書以外で作成するなら、各頁に署名押印が必要です。

Step 4: 保管方法を決める
自宅保管の場合は紛失・改ざんが最大の弱点です。安全性を高めるなら、法務局の保管制度を検討します。

法務局の自筆証書遺言書保管制度の費用と要点

保管制度では、遺言書の保管申請は「遺言書1通につき3,900円」の手数料が示されています。閲覧や証明書交付にも手数料区分があります。
また、法務局の案内資料でも、保管制度を利用する場合の準備物(本人確認書類、住民票、申請書、保管手数料等)と大まかな流れが整理されています。

Step 1: 予約を取る
管轄の法務局(遺言書保管所)に予約します。

Step 2: 必要書類を用意する
遺言書、本人確認書類、住民票、申請書、手数料(収入印紙)等を準備します。

Step 3: 本人が来庁して申請する
遺言者本人が申請するのが原則です。

Step 4: 保管後の情報整備
相続人に制度利用の事実を伝えるか(伝え方を含め)を検討します。

ここがポイント
保管制度は「安心して預けられる」一方で、遺言内容の実質的な妥当性(遺留分、相続税、家族関係の火種)まで自動で解決するものではありません。内容の設計と方式・保管を分けて考えると失敗が減ります。

よくある質問

Q: 自筆証書遺言はパソコンで作れますか? ▼
本文は原則として全文自書が必要です。一方、財産目録は一定の条件でパソコン作成や資料添付が認められており、その場合は各頁に署名押印が必要です。
Q: 法務局に預ければ、検認は不要ですか? ▼
保管制度を利用した自筆証書遺言は、相続発生後の手続面で通常の自宅保管より整理されやすい設計です。具体的な手続はケースにより異なるため、相続開始後は法務局・専門家に確認してください。
Q: 公正証書遺言の費用はどれくらい見ておくべきですか? ▼
公証人手数料令に基づく手数料(財産額に応じた算定)が中心で、加えて証人の手配や書類取得費、出張対応の場合は日当・交通費が発生し得ます。財産規模と内容で変動するため、公証役場で事前見積りを取るのが実務的です。

まとめ

  • 遺言書は「内容」だけでなく方式を満たさないと無効リスクがある
  • 自筆証書遺言は、全文自書・日付・氏名・押印が基本要件で、財産目録には例外がある
  • 自筆証書遺言は、法務局の保管制度で紛失・改ざんリスクを下げられる(保管申請は1通3,900円)
  • 公正証書遺言は確実性が高いが、手数料は財産額に応じて算定され、付随費用も見込む
  • 争点が想定される場合ほど、公正証書遺言を含めた設計が有効になりやすい

参照ソース

  • 法務省「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度|手数料」: https://www.moj.go.jp/MINJI/09.html
  • 旭川地方法務局(法務省)「遺言書の作成をお考えの方へ(保管制度ご利用までの流れ)」: https://houmukyoku.moj.go.jp/asahikawa/page000001_00212.pdf
  • 日本法令外国語訳DBシステム(公証人手数料令・参考): https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/download/4375/04/h05Bc002240204ja15.0_r4C249.pdf

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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