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中小企業向けコラム
作成日:2025.05.05
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

コンサル・士業の経費で落とせるもの【2026年版】|税理士が解説

9分で読めます
コンサル・士業の経費で落とせるもの【2026年版】|税理士が解説

コンサルタント・士業の経費で落とせるものは、「売上を得るために直接必要な支出(必要経費)」が基本です。一方で、自宅兼事務所やスマホ代、食事・交際などは私生活と混ざりやすく、家事関連費の線引きが曖昧だと税務調査で否認されやすい領域になります。税理士法人 辻総合会計でも「何が経費になるか」より「どう説明できる形で残すか」が論点になる相談が多い分野です。本記事では、実務で迷いやすい支出を中心に、判断軸と証拠の残し方まで整理します。

コンサル・士業の「必要経費」とは

必要経費は、原則として「業務に必要で、売上獲得や業務遂行と合理的な関係がある支出」です。コンサル・士業はモノの仕入が少ない反面、知的サービスゆえに「将来の受注につながる活動」「信用維持のための支出」などが多く、目的と内容の説明力が重要になります。

経費性の判断軸(実務での3点セット)

  • 目的:その支出は何の業務のためか(案件名・顧客名・テーマ)
  • 必要性:その支出がないと業務に支障が出るか、代替と比較して合理的か
  • 証拠:金額・日付・相手先・内容が分かる資料が残っているか
ここがポイント
「グレーだから計上しない」よりも、「計上するなら説明可能な形に整える」が現実解です。特に飲食・交通・通信・自宅関連は、メモを残すだけで判断が一段クリアになります。

経費で落とせるもの一覧(コンサル・士業向け)

以下は、相談頻度が高い支出を「落としやすい」「条件付き」「注意が必要」に分けた整理です。結論として、業務との紐づけができれば経費化の余地は広がります。

1) 事務所・業務インフラ

  • 地代家賃:事務所家賃、レンタルオフィス、コワーキング
  • 水道光熱費:事務所分(自宅兼用は按分)
  • 通信費:インターネット回線、業務用スマホ、クラウドFAX等(兼用は按分)
  • 消耗品費:文具、名刺、プリンタインク、ケーブル、電池、外付けHDD
  • 支払手数料:振込手数料、決済手数料、サブスク決済手数料

2) IT・ソフトウェア(コンサル・士業の主要経費)

  • ソフトウェア利用料:会計・請求・契約管理、電子署名、タスク管理、セキュリティ
  • クラウドストレージ、バックアップ、パスワード管理
  • PC・周辺機器:PC、モニタ、キーボード、Web会議機器(高額は資産計上の検討)
  • ドメイン・サーバ費用、業務用メール、Webサイト保守

3) マーケティング・営業

  • 広告宣伝費:Web広告、SEO外注、チラシ、名刺、LP制作
  • 接待交際費(または会議費):顧客との打合せ飲食、手土産(内容メモ必須)
  • 旅費交通費:訪問、セミナー登壇、現地調査の移動・宿泊(私用混在は要分離)

4) 研修・情報収集(要件を満たせば強い)

  • 新聞図書費:専門書、業界紙、法令・判例データベース
  • 研修費:業務に直結する講座受講料、資格更新に必要な研修
  • 外注費:デザイン、ライティング、事務代行、調査、動画編集(成果物・契約書があると強い)

5) 人・専門家に払う費用

  • 支払報酬:税理士・弁護士・社労士等への顧問料(自分が士業でも、別領域の専門家は対象)
  • 採用関連費:求人広告、面接交通費(ルール化推奨)
  • 福利厚生費:従業員向け(個人事業主本人分は論点になりやすい)

経費で落とせないもの・否認されやすい支出

経費否認の典型は「私生活」「資産性」「過大」「説明不能」です。特にコンサル・士業は外形的に私的支出と区別がつきにくいため、家事費との切り分けが要点になります。

否認リスクが高い例

  • スーツ・腕時計・美容等:一般には「私生活(身だしなみ)」と評価されやすい
  • 家族旅行・プライベート飲食:出張と称しても私用割合が高いと危険
  • 自宅家賃の全額:自宅兼事務所は合理的な按分が前提
  • 「交際費」の中身が不明:相手先・目的・人数が不明な飲食
  • 高額ガジェットの頻繁な買替:業務必要性の説明が弱いと資産性・私用疑義

「会議費」と「交際費」の使い分けのコツ

少額の打合せ飲食は会議費で処理されることもありますが、重要なのは科目名より実態です。実態が交際(接待・贈答)なら交際費相当として説明できる形に整えましょう。

迷いやすい支出を判断する比較表(具体例)

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支出の例経費になりやすい条件否認されやすいポイント実務メモ(残すと強い)
カフェでの打合せ代顧客・案件の打合せ相手不明、目的不明日付・相手・議題をレシート裏に記入
自宅家賃・電気代事務所利用割合で按分全額計上、按分根拠なし面積・時間等の按分根拠を固定化
セミナー受講料業務に直結(テーマが一致)趣味・教養に近い受講資料・領収書・業務との関係メモ
書籍・サブスク専門領域の調査・執筆娯楽目的、家族利用書名・用途(提案書作成等)
出張旅費顧客訪問・現地調査観光混在、家族同伴行程表・アポ記録・宿泊明細

家事按分・証憑管理の「方法/手順」

自宅兼事務所、スマホ、ネット、車などは、按分をルール化するだけで説明力が大きく上がります。ポイントは、一貫した基準で毎期継続することです。

Step 1: 混在しやすい費目を洗い出す

  • 地代家賃、水道光熱費、通信費、車両費、保険、サブスクなど

Step 2: 按分基準を決める(面積・時間・回線など)

  • 自宅:業務スペース面積割合、または業務使用時間割合
  • 通信:業務利用の回線・端末を分ける、難しければ利用実態から割合設定
  • 車:走行記録(アプリ等)で業務割合を算定

Step 3: 根拠資料を残し、ルールを固定化する

  • 事務所スペース図、勤務時間帯、走行ログ、請求書・明細
  • 月次で同じ計算式にし、例外がある月だけ理由を記録

Step 4: レシート/請求書に「内容メモ」を添付する

  • 日付・相手・目的・案件名(最低限これだけで大きく変わります)
ここがポイント
領収書がない支出は「アウト」ではありませんが、難易度が上がります。クレジット明細だけで完結させず、メール・注文履歴・納品物・議事メモなど、補強資料をセットで残してください。

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  • まずは運用を単純化し、ファイル名規則(取引日_相手先_金額_内容)などを統一すると事故が減ります

ケーススタディ(現場で多い相談)

税理士法人 辻総合会計でよくある相談例を、匿名化して紹介します。

  • ITコンサルA:打合せ飲食が多いが、レシートのみで目的不明
    対応:月次で「相手先・案件名・議題」を記録する運用に変更。会議費/交際費の区分も説明可能になり、記帳の再現性が向上。

  • 士業B:自宅家賃を全額計上していた
    対応:面積按分に切替え、事務スペースを写真・図面で固定化。以後は按分率を毎期継続し、例外はメモで管理。

よくある質問

Q: スーツや革靴は経費になりますか? ▼

A:

一般的には私生活上の身だしなみとみられやすく、経費性の説明が難しい支出です。例外的に、業務専用であることを客観的に説明できる事情がある場合でも、否認リスクは残るため慎重に判断します。
Q: 自己投資のセミナーやコーチング費用は経費にできますか? ▼

A:

業務との直接性がポイントです。提供サービスとセミナー内容が一致し、提案書・監修業務・執筆等に反映しているなど、成果物や業務記録で説明できるなら経費化の余地があります。趣味・教養に寄るほど難易度が上がります。
Q: 自宅兼事務所の按分は何%が妥当ですか? ▼

A:

一律の正解はなく、面積・時間・利用実態に基づく合理性が重要です。毎月同じ計算式で継続し、事務スペースが明確であるほど説明が容易になります。
Q: 取引先との飲食代を経費にする際、最低限何を残すべきですか? ▼

A:

日付、相手先、人数、目的(議題)、案件名の5点が基本です。レシート裏のメモ、カレンダー予定、議事メモのいずれかが残る運用にすると否認リスクが下がります。

まとめ

  • コンサル・士業の経費は「業務との合理的な関係」と「証拠」で決まる
  • 自宅・通信・飲食・移動は家事関連費の按分とメモ運用が必須
  • 科目名より実態が重要で、相手先・目的・案件名の記録が有効
  • インボイス・電子保存は「保存要件」より先に運用の統一が重要
  • 迷う支出ほどルール化し、継続性と根拠資料で説明力を高める

参照ソース

  • 国税庁「タックスアンサー(所得税)必要経費」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
  • 国税庁「タックスアンサー(所得税)家事関連費」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2211.htm
  • 国税庁「インボイス制度特設サイト」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/invoice/index.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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