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中小企業向けコラム
作成日:2025.10.26
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

ファクタリングとは?仕組みとメリット・デメリット|税理士が解説

9分で読めます
ファクタリングとは?仕組みとメリット・デメリット|税理士が解説

ファクタリングとは(結論:売掛債権の「売却」による資金化)

ファクタリングとは、売掛債権(請求書・売上代金の未回収分)をファクタリング会社へ譲渡し、入金期日より前に資金化する方法です。ポイントは「借入ではなく、債権の売買(譲渡)」であることです。
資金繰りが逼迫しやすいのは、売上は立っているのに入金が先で、支払い(人件費・仕入・家賃)が先に来る局面です。特に、急な売上増・季節変動・診療報酬や保険請求のタイムラグなどがある事業では、資金の谷が生じやすいのではないでしょうか。
当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、30年以上にわたり中小企業・クリニック等の資金繰り相談を多数扱ってきましたが、「銀行融資が間に合わない」「急ぎで資金が必要」という場面で、ファクタリングを検討するケースは一定数あります。

ここがポイント
ファクタリングは有効な資金化手段である一方、「ファクタリングを装った高金利の貸付け(偽装)」も問題になります。契約形態と実態が一致しているかが重要です。

ファクタリングの仕組み|2社間・3社間の違い

2社間ファクタリング(取引先に通知しない型)

利用者(あなたの会社)とファクタリング会社の2者で契約し、売掛先(取引先)には基本的に通知せずに進めます。入金期日には、売掛先からあなたの会社へ入金され、その後ファクタリング会社へ精算します。
スピード重視で使われやすい反面、ファクタリング会社側のリスクが高くなりやすく、手数料は高めになりがちです。

3社間ファクタリング(取引先に通知・承諾を得る型)

利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者で進め、売掛先へ債権譲渡を通知し、承諾を得ます。入金期日には、売掛先がファクタリング会社へ直接支払う形が一般的です。
透明性が高く回収リスクも下がりやすいため、手数料は2社間より低くなる傾向がありますが、売掛先の理解が必要です。

比較表:2社間・3社間・銀行融資の違い

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項目2社間ファクタリング3社間ファクタリング銀行融資(運転資金)
取引先への通知原則なしあり(承諾が必要)なし
入金スピード早い傾向中程度審査次第
手数料/金利感高めになりやすい低めになりやすい金利は相対的に低いことが多い
審査の見られ方売掛先の信用が重要売掛先の信用が重要自社の財務・返済力が重要
会計上の位置づけ債権の売却(要会計判断)債権の売却(要会計判断)借入金計上

ファクタリングのメリット

1) 売掛金の入金待ちを短縮でき、資金繰りが安定する

売掛金は「利益」ではあっても「現金」ではありません。期日前に資金化できることで、支払い遅延や資金ショートのリスクを下げられます。

2) 自社の赤字・債務超過でも検討余地がある

審査の中心は売掛先の信用力になりやすく、銀行融資より通りやすい局面があります(ただし、売掛先の与信や取引実態が重要です)。

3) 借入枠を温存し、金融機関との関係を保ちやすい

銀行融資は「枠」の問題があります。短期の資金需要をファクタリングでつなぎ、融資は中長期の設備・運転に回す、という使い分けが可能です。

4) 取引条件の変化(手形サイト短縮等)への緩衝材になる

業界全体で支払条件が見直される局面では、運転資金の谷が一時的に大きくなることがあります。売掛債権の活用は、こうした変化への対応策として検討されます。

ファクタリングのデメリット・注意点(ここを誤ると高コスト化)

1) 手数料が利益を圧迫する

ファクタリングのコストは、売上総利益率が低い業態ほど効きます。例えば、粗利10%の事業で手数料が数%発生すると、実質利益が大きく削られます。
「一回で終わるつなぎ」なのか、「恒常化している」かで、判断は大きく変わります。

2) 取引先に知られるリスク(3社間、または2社間でも例外)

3社間は通知が前提です。2社間でも、契約条項や回収方法によっては実質的に通知が発生し得ます。レピュテーション(信用)影響を事前に織り込む必要があります。

3) 契約が“実質貸付”なら違法・高リスクになり得る

偽装ファクタリング(ファクタリングを装った貸付)が問題化しています。典型的には、

  • 買戻しを強制される(回収不能時に元本を必ず返す)
  • 手数料ではなく、期間に応じた金利計算に近い設計
  • 取り立てが貸金業者の様式
    など、実態が「貸付」に近い取引です。特に給与を対象とする「給与ファクタリング」はヤミ金融に該当し得るとして注意喚起があります。
ここがポイント
契約書に「償還請求権(リコース)」の有無、遅延損害金、違約金、買戻義務がどう定められているかは必ず確認してください。実務上、ここがトラブルの起点になりやすいポイントです。

4) 債権譲渡の法的手続(対抗要件)に留意が必要

債権譲渡は、第三者に対して主張するための要件(通知・承諾、登記等)が論点になります。取引スキームによって、債権譲渡登記を求められる場合もあります。
「誰に、いつ、どの方法で対抗できるか」は、契約設計と実務運用に直結します。

ファクタリングと他の資金調達の違い(混同しやすい論点)

手形割引との違い

手形割引は受取手形を金融機関等に割り引いて資金化する方法で、手形の仕組みを前提とします。ファクタリングは請求書ベースの売掛債権を対象にすることが多い点が違いです。

売掛債権担保融資(ABL)との違い

ABLは売掛債権等を担保に「融資」を受けるため、借入金として計上されます。一方、ファクタリングは債権の売買として整理されるのが基本です(会計処理は個別判断)。

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ファクタリング利用の手順(実務の流れ)

Step 1: 対象債権の整理(取引実態の確認)
請求書、契約書、納品書、入金履歴など、売掛債権の実在性を説明できる資料を揃えます。架空計上や名義貸しは重大なリスクです。

Step 2: 見積取得と手数料の比較
同じ金額でも、2社間/3社間、回収方法、必要書類で条件が変わります。手数料だけでなく、事務手数料・振込手数料・違約金条項も確認します。

Step 3: 契約内容の精査(リコース・違約金・回収条項)
「回収不能時の負担」「買戻義務」「遅延時の追加負担」が明記されていないかを重点チェックします。疑義があれば専門家に確認します。

Step 4: 実行・入金(資金使途の優先順位付け)
入金後は、税金・社会保険・給与・仕入など優先度の高い支払いから充当し、資金繰り表を更新します。恒常化する場合は、収益構造の改善や金融機関調達への切替も検討します。

失敗しないための業者選びチェックポイント

  • 会社情報(所在地・代表者・連絡先)が明確で、説明が文書化されている
  • 手数料の内訳が明確(「一式」表記が多い場合は要注意)
  • 契約が売買なのに、実質的に返済義務・買戻義務が強い設計になっていない
  • 取引先への通知方法・タイミングが契約書と運用で一致している
  • 相談窓口(金融庁・消費生活センター等)の注意喚起に反しない説明になっている

よくある質問

Q: ファクタリングは借入(融資)と何が違いますか? ▼

A:

一般には売掛債権を譲渡して資金化する「債権の売買(譲渡)」です。借入のように元本返済・利息という形ではなく、債権の買取対価として手数料が発生します。ただし実態が貸付に近い取引は別問題になるため、契約と実態の整合が重要です。
Q: 手数料はどのくらいが相場ですか? ▼

A:

一律の相場はありません。2社間/3社間、売掛先の信用、回収方法、金額、資料の整備状況などで変動します。比較する際は、手数料率だけでなく、事務費用や違約金条項まで含めた“総コスト”で判断してください。
Q: 取引先に知られずに利用できますか? ▼

A:

2社間は原則として通知しない設計ですが、契約条項や回収方法次第で例外もあり得ます。3社間は通知・承諾が前提です。信用面の影響が懸念される場合は、資金繰り表を作成し、他手段(融資・条件変更交渉)も含めて比較検討すると安全です。

まとめ

  • ファクタリングは売掛債権を譲渡して期日前に資金化する方法
  • 2社間はスピード重視だが手数料が高めになりやすく、3社間は透明性が高く手数料が下がりやすい
  • 最大の注意点は偽装ファクタリングを避けること(契約と実態の整合、リコース条項の確認)
  • 債権譲渡の対抗要件(通知・承諾・登記等)や契約条項(違約金・買戻義務)を必ず確認する
  • 恒常利用になる場合は、収益構造改善や金融機関調達への切替も含めた再設計が有効

参照ソース

  • 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」: https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html
  • 国民生活センター「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!」: https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20200612_1.pdf
  • 中小企業庁「売掛債権の利用促進について」: https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/urikake_panhu2.html
  • 法務省「債権譲渡登記・質権設定登記」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00171.html
  • 経済産業省「約束手形等のサイト短縮に関する要請」: https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240430002/20240430002.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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