
執筆者:辻 光明
代表税理士
ハンドメイド確定申告|minne販売の税金基準を税理士解説

ハンドメイド販売の確定申告は必要?結論と判断フロー
ハンドメイド販売の確定申告が必要かどうかは、「売上」ではなく所得(売上-経費)と、あなたの働き方(会社員か・専業か)で決まります。特にminneなどのプラットフォーム販売は、入金額と売上のズレ(手数料控除)が起きやすく、判断を誤りがちです。
誰にとって何が問題かというと、趣味の延長で少額のつもりでも、継続的に売れていると「申告が必要な所得」になり、無申告や申告漏れのリスクが出る点です。税理士法人 辻総合会計でも、ハンドメイド販売を始めた方から「どこからが事業?」「経費はどこまで?」という相談が増えています。
まずは、次の簡易フローで当たりをつけてください。
- 会社員(給与あり)で、ハンドメイドの所得が年間20万円を超える → 原則、所得税の確定申告が必要
- 給与がない(専業・扶養内など)で、合計所得が基礎控除を超える → 原則、確定申告が必要
- 所得が小さくても、医療費控除・ふるさと納税などで確定申告をする → ハンドメイド分も一緒に申告が必要
minne販売の収入は「売上」?「入金」?税金計算の基本
ハンドメイド販売で課税対象になるのは、原則として利益(所得)です。計算はシンプルで、基本は次のとおりです。
- 所得 = 売上(収入) - 必要経費
ここで混乱しやすいのが、minneのようなプラットフォーム販売では「入金=売上」ではない点です。販売手数料・決済手数料・振込手数料などが差し引かれた金額が入金されますが、税務上は一般に「購入者が支払った金額(総額)」を売上として把握し、差し引かれた手数料は経費で整理します。
よくあるミス:売上の取り方がバラバラ
- 入金額だけを売上にしてしまう(手数料が売上から抜ける)
- 送料を売上に入れたり入れなかったりする
- キャンセル・返金を売上のマイナスにしていない
まずは「月次で、販売件数・販売総額・手数料・送料・返金」を揃えるのが実務の近道です。
趣味と事業の境界|雑所得・事業所得の違いと判定ポイント
ハンドメイド販売の所得区分は、主に「雑所得」か「事業所得」を検討します。国税庁は、雑所得について「副業に係る収入」などが該当し得ること、また「業務に係るもの」は営利を目的とした継続的なものであることを示しています。
一方で、事業所得は「事業としての実態」がポイントになります。ここで重要なのは、あなたが「開業届を出したか」だけで自動的に事業所得になるわけではなく、継続性・営利性・規模、そして記帳・帳簿の整備などの実態で判断される点です(所得税基本通達の改正で、区分の考え方が整理されています)。
判定の目安(実務での見方)
税理士実務では、次の要素を総合評価して「事業らしさ」を見ます。
- 継続性:単発ではなく、定期的に制作・出品・販売している
- 営利性:原価計算や価格設定を行い、利益確保を意識している
- 規模:売上が一定規模になっている、仕入・在庫管理がある
- 投下時間:相応の作業時間を投じている
- 管理体制:帳簿をつけ、証憑(領収書・請求書)を保存している
- 対外性:SNS運用、販促、リピーター獲得などの活動がある
結論として、「趣味か事業か」は気持ちではなく、お金の動きと記録で説明できるかが分かれ目になります。
雑所得と事業所得の違い(比較表)
| 項目 | 雑所得(業務に係る雑所得を含む) | 事業所得 |
|---|---|---|
| 主なイメージ | 副業・小規模な継続収入 | 本業レベル/事業として運営 |
| 帳簿の重要性 | 収入規模により保存・添付要件が強化 | 原則として記帳・帳簿が前提 |
| 赤字の扱い | 原則、他の所得と損益通算できない | 条件を満たせば損益通算できる |
| 使える制度 | 基本は必要経費控除 | 青色申告特別控除など検討余地 |
| 説明責任 | 副業として合理的に説明 | 事業実態を資料で説明 |
※赤字の取扱いなどは個別事情で結論が変わるため、制度適用は税理士に確認するのが安全です。
確定申告が必要になるライン|会社員「20万円」・それ以外「基礎控除」
「確定申告が必要か」の最初の分岐は、あなたが給与所得者かどうかです。
会社員(給与所得者)の場合:所得20万円超が目安
給与を1か所から受けて年末調整をしている人でも、給与・退職以外の所得合計が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。ハンドメイド販売の利益(所得)がここに入ります。
- 例:ハンドメイド売上 40万円、経費 25万円 → 所得 15万円 → 原則、所得税の確定申告は不要(ただし住民税など別論点)
- 例:ハンドメイド売上 80万円、経費 45万円 → 所得 35万円 → 原則、確定申告が必要
給与がない/扶養内の方:基礎控除との関係
給与がない場合は、合計所得金額が基礎控除を超えると確定申告が必要になり得ます。基礎控除は所得水準に応じて変動します(制度改正の注意点もあるため、最新の取扱いを確認してください)。
中小企業の税務・経営相談
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ハンドメイド販売で経費にできるもの|材料費・手数料・家事按分
確定申告の実務で差が出るのは「経費の整理」です。ハンドメイドは材料・道具・発送など支出項目が多く、按分も絡むため、早めに型を作るのが重要です。
代表的な必要経費の例
- 材料費:布、ビーズ、金具、糸、塗料、レジン等
- 消耗品費:梱包材、ラベル、緩衝材、制作に使う消耗品
- 発送費:送料、配送資材
- 手数料:minneの販売手数料・決済手数料・振込手数料
- 広告宣伝費:SNS広告、撮影小物、展示会出展費(事実関係に応じて)
- 通信費:制作・販売に必要な回線費(家事按分)
- 旅費交通費:仕入・イベント出展等(業務関連が説明できる範囲)
- 外注費:撮影、デザイン、制作補助など
家事按分(自宅作業の注意点)
自宅の家賃・光熱費・通信費などは、私用と混在しやすい費目なので、合理的な基準で按分します。例えば「作業部屋の面積割合」「作業時間割合」など、第三者に説明できる基準に統一し、毎年同じ考え方で処理するのが安全です。
minne販売の確定申告のやり方|準備から提出までのステップ
ここからは、実務の流れをステップ形式で整理します。最短で迷わないために「①数字を揃える→②区分を決める→③申告書を作る」の順が鉄則です。
Step 1: 年間の売上・手数料・送料・返金を集計する
- minneの管理画面・入出金明細から、月ごとの販売総額を集計
- 手数料・振込手数料・返金は明細で根拠を残す
- 入金額だけで売上を作らない(総額売上+手数料経費で整える)
Step 2: 経費を科目別にまとめ、証憑を保存する
- 材料費・梱包費・発送費・手数料など、よく使う箱を決める
- 領収書・請求書・カード明細を紐付ける
- 家事按分は基準を決め、メモを残す
Step 3: 所得区分(雑所得/事業所得)を現実的に決める
- 「副業で小規模・帳簿が限定的」なら雑所得で整理するケースが多い
- 「継続的・営利的・記帳体制がある」なら事業所得(青色申告の検討余地)
- 迷う場合は、通達改正の趣旨も踏まえて資料で説明できる形に寄せる
Step 4: 確定申告書を作成して提出する(e-Tax含む)
- 国税庁の確定申告書等作成コーナー等で作成
- 所得の種類に応じて収支内訳(または帳簿)を整える
- 会社員は「給与+副業所得」を合算して申告する
よくある質問
Q: minneの売上が少ないのですが、確定申告は必要ですか?
A:
売上の大小だけでは決まりません。原則は「所得(売上-経費)」で判断し、会社員なら給与・退職以外の所得合計が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが目安です。給与がない場合は基礎控除との関係で必要性を確認します。Q: ハンドメイドは趣味なので、税金はかからないと思っていました。
A:
趣味でも、営利目的で継続的に販売し利益が出ていれば課税対象になり得ます。税務上は「気持ち」よりも、継続性・営利性・記帳の状況などの実態で、雑所得(業務)や事業所得として整理されます。Q: 開業届を出せば、必ず事業所得になりますか?
A:
開業届は重要な手続ですが、所得区分は届出だけで自動決定されるものではなく、事業としての実態(継続性・営利性・帳簿等)で総合判断されます。青色申告を検討する場合も、帳簿体制を含めて準備が必要です。Q: 経費としてどこまで認められますか?
A:
作品を制作・販売するために必要な支出で、事実関係を説明できるものが基本です。材料費や梱包・発送、プラットフォーム手数料は典型例です。家賃・光熱費などの家事按分は、面積や時間など合理的な基準で処理します。まとめ
- ハンドメイド販売の申告要否は、売上ではなく所得(利益)と働き方で判断する
- 会社員は「給与以外の所得合計20万円超」が確定申告の目安になりやすい
- 趣味か事業かは、継続性・営利性・規模・帳簿など実態と記録で判断される
- minneは入金=売上になりにくいので、販売総額と手数料を分けて整理する
- 経費・按分・区分で迷ったら、早めに税理士へ相談して型を作るのが安全
参照ソース
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁「No.1500 雑所得」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
- 国税庁「「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)」: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/index.htm
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 国税庁「No.1199 基礎控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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