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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

寄附金控除の確定申告|ふるさと納税以外の条件を税理士が解説

10分で読めます
寄附金控除の確定申告|ふるさと納税以外の条件を税理士が解説

寄附金控除とは|ふるさと納税以外も「条件を満たせば」税金が戻ります

寄附金控除とは、一定の寄付(特定寄附金)を行ったときに、所得控除(または一部は税額控除)として確定申告で税負担を軽くできる制度です。ふるさと納税だけでなく、認定NPO、公益法人、学校法人などへの寄付も、要件を満たせば対象になります。国税庁も、国・地方公共団体や特定公益増進法人などへの「特定寄附金」を支出した場合に寄附金控除が適用される旨を示しています。

一方で、NPOや学校への寄付なら何でも控除できるわけではありません。「寄付先の区分」「寄付の目的」「返礼や利益供与の有無」「証明書類の有無」で判定が分かれます。特に、現場では「領収書はあるのに対象外だった」「税額控除と所得控除の選択を誤った」という相談が毎年起きています。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、個人の確定申告サポートや顧問先の役員個人の申告を含め、寄付の控除可否や資料整備の相談を継続的に受けています。結論としては、寄付の前後で「どの制度で、何が必要か」を押さえることが最短ルートです。

寄附金控除の対象|NPO・学校・公益法人が“対象になる条件”

寄附金控除の基本は「特定寄附金」

寄附金控除は、国税庁が示す「特定寄附金」に該当する寄付が前提です。具体的には、国・地方公共団体、一定の公益目的の法人・団体、特定公益増進法人、認定NPO法人等などが例示されています。さらに、学校の入学に関してするもの、寄付者に特別の利益が及ぶもの等は特定寄附金に該当しないとされています。

つまり、ふるさと納税以外の寄付でも、まずは「寄付先が制度上の対象(特定寄附金の範囲)に入るか」を確認する必要があります。

NPOへの寄付:ポイントは「認定・特例認定NPO」

よく誤解されるのが「NPO法人なら控除できる」という理解です。原則として、税制優遇が大きいのは認定NPO法人等への寄付です。内閣府NPOホームページでも、個人が認定・特例認定NPO法人に寄付した場合、所得控除または税額控除のいずれかを選択して確定申告により控除を受けられる旨が案内されています。

認定NPOかどうかは、団体のWebサイトの記載だけでなく、内閣府の一覧等で確認すると確実です。寄付時点で認定の有効期間内であることも実務上の重要チェックポイントです。

学校への寄付:学校法人への寄付でも制度が分かれる

学校への寄付は、学校法人等への寄付(いわゆる特定公益増進法人等に該当する場合)として寄附金控除の対象になり得ます。加えて、一定要件を満たす学校法人への寄付については、所得控除より減税効果が見えやすい税額控除制度が設けられていることも文部科学省資料で整理されています(学校法人側が証明申請を行う運用が前提となります)。

「母校の基金に寄付した」「大学の研究支援に寄付した」などは対象になり得る一方で、返礼品や優遇サービスの受領、会費の性質が強い支出などは整理が必要です。

控除対象にならない典型例(実務で多いもの)

次のようなケースは、控除対象から外れやすいので注意してください。

  • 寄付の対価として高額な返礼やサービス提供を受けた(特別の利益供与)
  • 入学に関してする寄付(入学金・施設負担金等を含め、扱いが寄付と異なる場合がある)
  • 相手先が「認定NPO」ではない通常のNPO法人への寄付(制度区分が違う)
  • 領収書(受領証)がない、または寄付者名義が申告者と異なる
ここがポイント
寄付は「支払った人」が控除を受けるのが原則です。夫婦や家族でまとめて支払う場合、領収書の名義と申告者が一致しないと控除できないことがあります。支払方法(口座・カード名義)も含め、証明の整合性を先に整えましょう。

所得控除と税額控除の違い|どちらが有利かの考え方

寄附金控除は基本的に「所得控除」ですが、認定NPO法人等や公益社団法人等への一定の寄付は、所得控除に代えて税額控除を選択できる場合があります。国税庁は、認定NPO法人等に寄附をしたときの取扱い(コード1263)や、公益社団法人等への寄付(コード1266)で、選択適用できる旨を示しています。

比較表:所得控除と税額控除(実務での選び分け)

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比較項目所得控除(寄附金控除)税額控除(寄附金特別控除)
控除の効き方課税所得を減らす所得税額から直接差し引く
有利になりやすい人所得税率が高い(高所得)ほど効果が出やすい所得税率に関係なく一定率で効きやすい(中低所得でも効果が見えやすい場合)
適用できる寄付特定寄附金(範囲が広い)認定NPO法人等、公益社団法人等など「一定の寄付」に限定
注意点控除額に上限(総所得金額等の40%相当額など)控除額に上限(所得税額の一定割合など)・明細書等が必要になりやすい

結局のところ「どちらが有利か」は、所得金額、税率、寄付額、対象区分で変わります。実務では、確定申告書等作成コーナーで両方を試算し、納税額が小さくなる選択を採るのが安全です。

寄付の確定申告のやり方|必要書類と入力の流れ(寄付 確定申告)

ここからは、実際に「寄付で税金が戻る」ための手続を、迷いどころに絞って整理します。

必要書類(基本)

国税庁は、寄附金控除を受けるには、確定申告書に寄附金控除に関する事項を記載し、寄付先が発行する受領証(領収書)等を添付または提示する必要があるとしています。まずはここがスタートラインです。

寄付先の区分によっては、追加で「その法人が特定公益増進法人である旨の証明書の写し」など、区分判定の根拠書類が必要になることがあります。

ステップ形式:寄附金控除の申告手順

Step 1: 寄付先が「対象区分」か確認する

  • 国・地方公共団体(自治体)
  • 認定NPO法人等
  • 公益社団法人・公益財団法人等
  • 学校法人(一定要件を満たす場合を含む)
    区分によって、所得控除のみか、税額控除も選べるかが変わります。

Step 2: 受領証(領収書)と名義をそろえる

  • 申告者本人名義か
  • 寄付日(年分)の判定に誤りがないか
  • クレジットカード決済は「決済日」と「引落日」の扱いを寄付先の証憑で確認する(証憑の記載に従うのが原則)

Step 3: 確定申告書に入力し、控除方式を選ぶ(該当者のみ)

  • 寄附金控除(所得控除)
  • 寄附金特別控除(税額控除:認定NPO・公益社団法人等で選択可の場合)
    税額控除を選ぶ場合は、明細書の作成・添付が必要になることがあります。

Step 4: 添付書類を付けて提出する(e-Tax含む)

  • 受領証(領収書)
  • 区分に応じた証明書類
    e-Tax提出の場合も、提出方法に応じて保存・提出要件があります。
ここがポイント
「寄付先から届いた書類が申告期限に間に合わない」という相談は少なくありません。制度によっては後日提出の取扱いが示されているケースもありますが、安易に自己判断せず、寄付先・税務署・専門家に確認して整合性を確保してください。

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計算の基本|寄附金控除はいくら戻る?上限の考え方

寄附金控除(所得控除)の計算は、国税庁が「次の(1)または(2)のいずれか低い金額 − 2,000円」と整理しています。つまり、寄付した総額がそのまま控除になるわけではなく、2,000円の自己負担部分と、総所得金額等の40%相当額などの上限が関係します。

  • (1)その年に支出した特定寄附金の合計額
  • (2)その年の総所得金額等の40%相当額
    この小さい方から2,000円を差し引いた額が、寄附金控除額(所得控除)になります。

税額控除を選べる寄付(認定NPO、公益社団法人等の一定の寄付など)は、別途「税額控除額の計算」「所得税額の一定割合の上限」といった制約が入ります。国税庁の各コード(1263、1266)を参照し、年収・税額・寄付額のバランスで判断しましょう。

よくある質問

Q: 普通のNPO法人への寄付でも寄附金控除になりますか? ▼

A:

一律ではありません。税額控除や所得控除の対象として整理されやすいのは、認定・特例認定NPO法人への寄付です。寄付先が認定NPOに該当するか、寄付時点で認定が有効かを確認し、受領証などの証憑をそろえた上で確定申告します。
Q: 学校(大学)への寄付は控除できますか? ▼

A:

学校法人への寄付でも、制度上の区分や要件を満たせば寄附金控除の対象になり得ます。さらに、一定要件の下で税額控除制度が設けられている場合もあります。寄付先が発行する受領証(領収書)や、学校法人側の案内(税額控除対象かどうか)を確認してください。
Q: 領収書をなくしました。明細(カード利用明細)だけで申告できますか? ▼

A:

原則として、寄付先が発行する受領証(領収書)が必要です。再発行可否は寄付先の運用によります。早めに寄付先へ連絡し、代替書類の可否も含めて確認してください。
Q: ふるさと納税以外の寄付はワンストップ特例のように簡単ですか? ▼

A:

多くの場合、確定申告での手続が必要になります。特に税額控除の選択が関わる寄付(認定NPO、公益社団法人等の一定の寄付など)は、明細書作成や要件確認が増えやすいので、申告前に書類を整理しましょう。

まとめ

  • 寄附金控除は、ふるさと納税以外でも「特定寄附金」に該当すれば対象になり得る
  • NPOは「認定・特例認定NPO法人」かどうかで扱いが大きく変わる
  • 学校への寄付も、学校法人等への寄付として控除対象になり得るが、制度区分と証憑が重要
  • 所得控除と税額控除は効き方が違うため、試算して有利な方式を選ぶのが実務的
  • 受領証(領収書)と名義の整合性が、最も多い落とし穴

参照ソース

  • 国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm
  • 国税庁「No.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1266.htm
  • 内閣府 NPOホームページ「個人が認定・特例認定NPO法人に寄附した場合」: https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-yuuguu/kojin-kifu

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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