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中小企業向けコラム
作成日:2025.08.09
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

オペレーティングリース節税の仕組み|法人税と注意点を解説

7分で読めます
オペレーティングリース節税の仕組み|法人税と注意点を解説

オペレーティングリースとは何か

オペレーティングリースを使った節税の仕組みは、「資産を買う」のではなく「使う権利を借りる」ことで、支払を賃借料の損金算入として処理し、課税所得を平準化(あるいは一時的に圧縮)できる点にあります。

税務上、リース取引は大きく「法人税法上のリース取引(実質売買とみるもの)」と、「賃貸借取引(オペレーティング・リース取引)」に整理されます。後者は基本的に、契約に基づき債務が確定した賃借料を各事業年度の損金に算入していくイメージです。

ここがポイント
実務で「節税」と呼ばれるケースの多くは、税金をゼロにする話ではなく、課税のタイミングをずらす税負担の繰延べ(キャッシュフロー最適化)です。将来の利益が増えれば、その時点で税負担も戻ってきます。

なぜ「節税になる」と言われるのか:仕組みを分解

1) 購入よりも費用化が平準化しやすい

設備を購入すると、会計・税務ともに減価償却により費用化します。初年度に全額費用にならないため、利益が出ている年に投資しても、当期の課税所得が思ったほど下がらないことがあります。

一方、オペレーティングリースは、契約に従って支払う賃借料が費用となるため、利益計画に合わせて費用の出方を設計しやすい局面があります(ただし、契約条件と税務上の取扱いが前提です)。

2) キャッシュアウトと費用計上が連動しやすい

購入は初期支出が大きい一方、費用は償却で分割されます。リースは支払も分割され、費用も分割されるため、資金繰りの見通しと損金計画を合わせやすくなります。

3) 会計基準の変更と税務のズレが「調整」を生む

近年のリース会計の見直しにより、会計上は使用権資産・リース負債を計上する場面が増えています。その結果、会計上の費用(減価償却費+利息等)と、税務上の損金(賃借料)に差が出ることがあり、申告調整が必要になるケースがあります。

購入・ファイナンスリースとの違い(比較)

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項目購入(自己資金・借入)ファイナンスリース(実質売買)オペレーティングリース(賃貸借)
税務上の基本減価償却で損金算入リース資産を自己資産として償却賃借料を損金算入(債務確定ベース)
初期費用大きくなりがち原則分割原則分割
損金の出方償却により段階的償却により段階的賃借料により契約どおり
貸借対照表への影響資産計上(購入資産)資産計上(税務上)会計基準適用次第で計上(税務は賃借料)
向いている場面長期保有・資産蓄積実質的に購入に近い利用利用期間が明確、利益平準化・資金繰り重視

ポイントは、「見た目がリースでも、税務上は実質売買(ファイナンスリース)に分類されると、オペレーティングリースのような賃借料処理にはならない」ことです。契約形態と実態の確認が重要です。

実務での進め方:導入判断と処理の手順

オペレーティングリースを“節税目的”だけで選ぶと、意思決定が歪みやすくなります。税務リスクと事業上の合理性を同時に満たす設計が必要です。

Step 1: 目的を数値で定義する(利益・資金繰り・投資計画)

当期・来期の利益見込み、必要投資、資金繰り(返済余力)を整理し、「費用を前倒ししたい」のか「支払を平準化したい」のかを明確にします。

Step 2: 契約がどの区分になり得るかを判定する

解約制限、経済的利益と費用負担の帰属、実質的な購入に近い条件がないかを確認します。区分により、損金の形(賃借料か償却か)が変わります。

Step 3: 会計処理と税務処理の差を洗い出す

新リース会計基準を適用している場合、会計の費用構造と税務(賃借料損金)に差が出る可能性があります。差異が出る場合は、申告調整の設計まで含めて実装します。

Step 4: 証憑・社内ルールを整備する

契約書、見積書、稟議、利用実態(用途・稼働)、支払スケジュールを揃えます。税務調査では「事業上の合理性」と「処理の一貫性」が問われます。

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注意点と否認リスク:ここを外すと危険

セール・アンド・リースバックは「実質判断」が強い

資産を売って現金化し、同じ資産をリースで使い続けるスキームは、状況によっては実質的に資金調達(貸付)と判断される可能性があります。形式ではなく実態で判定されるため、契約条件と取引経緯の説明可能性が重要です(実質判断)。

「節税=万能」ではない

オペレーティングリースは、利益の出方を整えやすい一方で、総支払額が購入より高くなることがあります。税効果だけでなく、調達コスト、残価リスク、解約制限、更新条件まで含めて意思決定すべきです。

ここがポイント
オペレーティングリース投資(いわゆる航空機・船舶等を対象とする投資商品)は、契約主体・匿名組合等のスキーム、損益の帰属、出口条件が複雑になりがちです。本記事の「賃貸借としてのオペレーティングリース」とは検討ポイントが増えるため、商品説明書と税務見解を前提に個別検討が必要です。

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、個別案件の適法性・税務上の結論を保証するものではありません。契約条件、会計基準の適用状況、業種・資産内容により取扱いは異なります。実行前に税理士等の専門家へご相談ください。税理士法人 辻総合会計でも、リース取引の区分判定や申告調整の設計相談を受け付けています。

よくある質問

Q: オペレーティングリースは必ず賃借料として損金になりますか? ▼

A:

いいえ。名称がオペレーティングリースでも、契約条件・実態により「法人税法上のリース取引(実質売買)」と判断されると、賃借料ではなくリース資産の償却として処理されます。区分判定が出発点です。
Q: 新リース会計基準を適用すると、税務上も資産計上になりますか? ▼

A:

一般に会計と税務は一致しません。会計上、使用権資産・リース負債を計上しても、税務上は賃貸借として賃借料を損金算入する取扱いが維持される場面があり、その差は申告調整で処理します。具体的な調整方法は事例により異なります。
Q: 税務調査で否認されやすいのはどんなケースですか? ▼

A:

事業上の必要性が薄い、取引の経緯が説明できない、実質的に資金の貸借とみられる、処理が年度でブレている、といったケースはリスクが上がります。稟議・比較検討・契約条件の合理性を残すことが重要です。

まとめ

  • オペレーティングリースの「節税」は、賃借料を損金算入し利益を平準化しやすい点にある
  • 名称ではなく契約条件・実態により区分が変わり、償却処理になる場合もある
  • 会計基準の変更で会計と税務にズレが出ると、申告調整が必要になることがある
  • セール・アンド・リースバック等は実質判断のリスクが高く、取引経緯の説明可能性が重要
  • 税効果だけでなく、総コスト・解約制限・資金繰りを含めて意思決定する

参照ソース

  • 国税庁「No.5702 リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5702.htm
  • 国税庁「新リース会計基準に対応する改正(改正概要 令和7年度)」: https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2025/pdf/D.pdf
  • 国税庁「オペレーティング・リース取引に係る借手の申告調整について(令和7年6月)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2025/pdf/0025006-179.pdf

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。

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