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中小企業向けコラム
作成日:2025.05.12
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

税制大綱2026年のPC・スマホ経費処理|税理士が解説

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税制大綱2026年のPC・スマホ経費処理|税理士が解説

税制大綱2026年とPC・スマホの経費処理の結論

税制大綱2026年(令和8年度)を踏まえても、パソコン・スマホの経費処理は、基本的に「取得価額」と「会社規模(中小企業者等か)」で決まります。ポイントは、10万円未満は原則一括経費、20万円未満は3年均等の選択肢、30万円未満は中小企業者等に限り特例で即時償却できる、という整理です(ただし適用期限・上限あり)。

現場で困るのは「税込/税抜で10万円を超えるか」「スマホを私用でも使う(家事按分)」「付属品やセット販売で単位が分かれるか」など、実務論点が多いことではないでしょうか。本記事では、経営者・経理担当者向けに、迷いやすい“壁”を実務ベースで解きほぐします。

税制大綱2026年(令和8年度)の要点と実務への影響

令和8年度税制改正大綱の概要(2025年12月26日 閣議決定)では、物価上昇局面への対応(基礎控除等の見直し)、設備投資促進、研究開発税制、消費課税(越境EC・インボイス経過措置の見直し等)などが示されています。会計実務としては、「投資促進の流れはあるが、日常の備品購入(PC・スマホ)では、まず既存の少額資産ルールに沿って処理する」ことが基本線になります。

ここがポイント
税制大綱は“方針”であり、最終的な取扱いは改正法の成立・施行で確定します。決算期が近い場合は、購入日だけでなく「事業の用に供した日(実際に使い始めた日)」も含めて、証憑(請求書・納品書・利用開始記録)を整えておくと安全です。

10万円・20万円・30万円の壁とは(違いを一気に整理)

中小企業庁の整理は、実務理解に非常に有用です。要点は次のとおりです。

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壁(取得価額)主な処理の選択肢対象実務の勘所
10万円未満原則:全額を当期費用(即時)全ての企業・個人事業税込/税抜の判定で“超える/超えない”が変わることがある
20万円未満3年間で均等償却(残存価額なし)の選択肢全ての企業・個人事業当期費用にしたい場合の実務上の選択肢になりやすい
30万円未満中小企業者等のみ:即時償却(全額損金算入)中小企業者等年300万円の上限・適用期限(2026/3/31までの整理)に注意

ここでいう「30万円の壁」は、いわゆる少額減価償却資産の特例(中小企業者等向け)を指します。対象・上限・期限があるため、10万円・20万円の一般ルールとは別物として管理するのが重要です。

パソコン・スマホの経費処理「方法/手順」実務フロー

判断の順番を固定すると、迷いが減ります。

Step 1: 事業利用か(家事按分の有無)を決める

スマホやノートPCは私用混在が多い資産です。私用が混ざるなら、利用実態に基づき合理的に按分します(例:業務利用時間、業務用回線/端末の有無、利用明細など)。按分結果はメモで残し、毎期継続するのが基本です。

Step 2: 「端末代」と「通信料」を分ける

  • 端末代(本体購入・一括購入・分割購入の本体相当分)は、原則として資産判定の対象です。
  • 月額通信料、通話料、クラウド利用料等は、通常「通信費」などの期間費用です。

分割購入でも、実質的に端末を取得していれば、会計上は「資産計上+未払金(または割賦未払金)」となるケースが一般的です(契約形態により異なります)。

Step 3: 取得価額を確定する(税抜/税込に注意)

10万円判定は、消費税の経理方式によってズレが出ます。税抜経理なら税抜額、税込経理なら税込額が取得価額になり、10万円未満かどうかが変わり得ます。たとえば税込107,800円のPCでも、税抜98,000円なら10万円未満として扱えるケースがあります。

Step 4: 金額帯ごとに処理を選択し、証憑と台帳を整備する

  • 10万円未満:即時費用(原則)
  • 10万円以上〜20万円未満:減価償却 or 3年均等(選択)
  • 20万円以上〜30万円未満:原則は減価償却(ただし中小企業者等なら30万円特例の検討)
  • 30万円以上:減価償却(資産計上)
ここがポイント
「壁を超えないように、請求を分ける」など形式的な分割は、実態が一体なら否認リスクがあります。セット販売・付属品込み価格などは特に、取引実態(通常の取引単位)で判断されるため注意してください。

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ケース1:税込107,800円のPC(税抜98,000円)—税抜経理なら10万円未満になり得る

  • 税抜経理で税抜98,000円→10万円未満として当期費用処理の余地
  • 税込経理だと107,800円→10万円以上になり得る

実務では、経理方式の一貫性(途中で税抜/税込を混在させない)と、証憑保存が重要です。

ケース2:18万円のスマホ端末—20万円未満の3年均等を使うか

「当期の利益をならしたい」「固定資産台帳を増やしたくない」など、管理方針で選択が分かれます。端末更新が早い業種では、3年均等を選ぶことで処理が平準化し、月次の比較がしやすくなります。

ケース3:28万円のノートPC—中小企業者等なら30万円特例の検討

中小企業者等で、30万円未満の資産を取得した場合、一定要件のもとで即時償却できます。ただし、年300万円までという上限があり、複数台購入が重なる年は上限管理が必要です。また、適用期限については「2026年3月31日まで」と整理されているため、期末・年度末の投資計画はタイミングを含めて管理します。

ケース4:35万円のPC—原則どおり資産計上して減価償却

この金額帯は、迷わず資産計上が基本です。周辺機器(モニター・ドッキングステーション等)が別請求か一体かで、資産の単位が変わることがあるため、購入時点で「セットか単品か」を発注書・見積書で明確にしておくと後工程が楽になります。

注意点/リスク:税務調査で見られやすいポイント

  • 家事按分の根拠が説明できない(私用混在のスマホ・ノートPC)
  • 税込/税抜で閾値を恣意的にまたぐ(経理方式の不一致)
  • 30万円特例の年300万円上限を超えているのに全額を即時費用にしている
  • 「事業供用日」が不明確(購入したが未開封、設定未完了で未使用等)
  • 端末代と通信料が混在し、台帳・証憑の突合ができない

税理士法人 辻総合会計でも、PC・スマホは「少額だから大丈夫」と処理が簡略化されやすい一方、期末に台数が増えると一気に論点が顕在化する相談が多い領域です。月次のうちから、購入ルールと台帳運用を決めておくことを推奨します。

よくある質問

Q: 10万円未満かどうかは、税込で判定しますか?税抜で判定しますか? ▼

A:

消費税等の経理処理方式によって判定が変わります。税抜経理方式なら消費税等抜き、税込経理方式なら消費税等込みが取得価額となり、10万円未満かどうかが変わり得ます。
Q: スマホ本体を分割で買った場合も、10万円・20万円・30万円の判定はできますか? ▼

A:

一般に、分割でも「端末を取得した」実態があれば取得価額で判定します。月額料金のうち端末相当分と通信料が混在する契約もあるため、請求内訳(端末代・通信料)を区分できる資料を保存してください。
Q: 30万円未満なら、誰でも全額を経費にできますか? ▼

A:

いいえ。30万円未満の即時償却は「中小企業者等」に限定された特例です。さらに年300万円の上限、適用期限(2026年3月31日までの整理)など要件があります。
Q: 仕事でもプライベートでも使うPC・スマホはどう処理しますか? ▼

A:

業務利用部分のみを必要経費(損金)とするのが原則です。利用実態に応じた合理的な按分(家事按分)を設定し、根拠メモや利用状況が分かる資料を残すと説明が容易になります。

まとめ

  • PC・スマホ購入の処理は「取得価額」と「中小企業者等か」で決まり、10万・20万・30万の壁で整理すると迷いが減る
  • 10万円判定は税込/税抜で結果が変わり得るため、経理方式に沿って一貫処理する
  • 30万円特例は中小企業者等限定で、年300万円上限と適用期限(2026/3/31までの整理)を必ず管理する
  • 端末代と通信料は分けて処理し、分割購入でも内訳資料を保存する
  • 私用混在は家事按分の根拠が重要。期末に慌てないよう月次で購入ルールと台帳運用を整える

参照ソース

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要(PDF)」: https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf
  • 中小企業庁「少額減価償却資産の特例」: https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html
  • 国税庁「No.5403(QA)消費税等の経理処理方式の違いによる少額の減価償却資産の判定」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5403_qa.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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