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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

退職金の確定申告は必要?控除計算|税理士が解説

8分で読めます
退職金の確定申告は必要?控除計算|税理士が解説

退職金の確定申告は原則不要。ただし「例外」が多い

退職金(退職手当)を受け取った場合、**「退職所得の受給に関する申告書」**を会社に提出していれば、原則として確定申告は不要です。退職所得は多くのケースで源泉徴収で精算されるためです。
一方で、申告書を出していない場合や、医療費控除・寄附金控除などで確定申告をする場合は、退職所得も申告に含める必要があります(後述)。

税理士法人 辻総合会計でも、「退職金を受け取ったが、申告が必要か/還付になるか」を確認する相談が毎年多くあります。ポイントは、退職金そのものよりも「退職所得の手続き」と「同じ年に他の申告理由があるか」です。

退職金の税金の仕組み(退職所得とは・分離課税とは)

退職所得とは(対象になる一時金の範囲)

退職により勤務先から受ける退職手当などは「退職所得」です。企業年金等からの一時金でも、退職に基因して支給されるものは退職所得とみなされるケースがあります。

退職所得は「原則、分離課税」

退職所得は原則として他の所得と分離して税額計算します。つまり、給与や事業所得がある方でも、退職所得は別枠で計算されるのが基本です。

ここがポイント
退職金の税負担が相対的に軽くなる理由は、(1) 退職所得控除が大きい、(2) 原則として2分の1課税(後述)だからです。ただし、勤続年数が短い場合など例外があります。

退職所得控除の計算(勤続年数別)と退職所得の算式

退職所得の基本算式(2分の1課税)

退職所得の金額は原則として次のとおりです。

  • 退職所得 =(収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2

ここで重要なのが退職所得控除と勤続年数です。勤続年数は1年未満の端数があると切り上げ計算になります(例:10年2か月→11年)。

退職所得控除額(表)

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勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数(80万円未満なら80万円)
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

計算例(よくある2パターン)

  • 例1:勤続11年、退職金600万円

    • 退職所得控除:40万円×11年=440万円
    • 退職所得:(600万円-440万円)×1/2=80万円
  • 例2:勤続30年、退職金2,000万円

    • 退職所得控除:800万円+70万円×10年=1,500万円
    • 退職所得:(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円

2分の1課税にならない(または一部ならない)例外

退職所得の2分の1課税には例外があります。代表例は次の2つです。

  • 特定役員退職手当等:役員等勤続年数が5年以下の一定の退職金は、2分の1計算の適用がありません。
  • 短期退職手当等:勤続年数5年以下など一定の場合、300万円超の部分は2分の1計算の適用がありません。

「自分が該当するか分からない」という相談が多い領域なので、退職金規程・役員就任時期・勤続年数の定義まで含めて確認するのが実務です。

退職金で確定申告が必要なケース・不要なケース(一覧)

まず結論:申告書を出しているかが最重要

国税庁の整理では次のとおりです。

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している
    • 退職金の源泉徴収で精算され、原則として確定申告不要
  • 申告書を提出していない
    • 退職金支払額の20.42%が源泉徴収され、本人が確定申告で精算(還付になることも多い)

申告要否の比較表

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区分典型例確定申告実務上のポイント
原則不要申告書提出済み・他に申告理由なし不要退職所得控除・2分の1課税を反映した源泉で完結
必要(精算)申告書未提出で20.42%源泉必要申告で正しい税額に精算(還付の可能性)
必要(他の申告理由)医療費控除、寄附金控除などで確定申告する必要(退職所得も記載)退職金がある年は申告書に退職所得を含める
要注意同一年に2か所以上から退職金/前年以前にも退職金があるケースにより必要退職所得控除の調整が入り、源泉だけでズレることがある
ここがポイント
「申告書を出していたのに還付がある」ケースの多くは、退職金以外の事情(医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の適用初年度など)で確定申告をすることになり、その結果として税額全体が変わるパターンです。退職所得も申告書に記載する点が重要です。

退職金の確定申告の手順(必要な書類・入力の流れ)

確定申告が必要になった場合、流れは次のとおりです(会社員の方でも共通です)。

Step 1: 「退職所得の源泉徴収票」を受け取る
退職金を受け取ると、通常「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」が交付されます。

Step 2: 勤続年数と退職所得控除額を確認する
勤続年数の端数切上げ、過去・同年の退職金の有無、短期退職手当等の該当性を確認します。

Step 3: 退職所得を計算し、申告書に反映する
原則は(収入-控除)×1/2。特定役員退職手当等・短期退職手当等の例外は別途反映します。

Step 4: 申告が必要な理由を整理して提出する

  • 申告書未提出で20.42%源泉→精算目的
  • 医療費控除・寄附金控除など→退職所得も含めて申告
    提出後は還付・納付の結果が確定します。

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よくある落とし穴(現場で多いミス)

  • 「退職金は申告不要」と聞いて、医療費控除の申告書に退職所得を書かない
    • 退職所得を含めて申告する必要があります。
  • 退職所得控除の勤続年数を「切り捨て」で計算してしまう
    • 端数は切上げです(例:10年2か月→11年)。
  • 申告書(退職所得の受給に関する申告書)を出しておらず、20.42%で源泉されているのに放置する
    • 多くの場合、確定申告で精算(還付)になる可能性があります。

税理士法人 辻総合会計では、「源泉徴収票の金額は合っているのに、なぜ税額が多い/少ないのか」という相談が出たとき、(1)申告書提出有無、(2)勤続年数、(3)同年複数退職金、(4)短期退職手当等の例外、の順に確認します。

よくある質問

Q: 退職所得の受給に関する申告書を会社に出していれば、確定申告は不要ですか? ▼

A:

原則不要です。ただし、医療費控除や寄附金控除などで確定申告をする場合は、申告書に退職所得も記載する必要があります。
Q: 申告書を出し忘れて、退職金から20.42%引かれました。どうなりますか? ▼

A:

申告書を提出していない場合は20.42%で源泉徴収されますが、本人が確定申告をすることで所得税等を精算します(結果として還付になることもあります)。
Q: 退職所得控除の勤続年数はどう数えますか? ▼

A:

1年未満の端数がある場合は切り上げます(例:10年2か月は11年)。控除額は勤続20年以下と20年超で計算式が異なります。
Q: 同じ年に2社から退職金をもらったら確定申告が必要ですか? ▼

A:

ケースにより必要です。退職所得控除は無制限に二重で使えるものではなく、同一年に複数の退職金がある場合などは計算が変わることがあります。源泉だけで過不足が出やすいので、源泉徴収票を揃えて検算するのが安全です。

まとめ

  • 退職金は、退職所得の受給に関する申告書を提出していれば原則として確定申告不要
  • 申告書未提出の場合は20.42%源泉となり、確定申告で精算(還付の可能性)
  • 退職所得控除は勤続年数で決まり、端数は切上げ
  • 2分の1課税には例外(特定役員退職手当等、短期退職手当等)がある
  • 医療費控除・寄附金控除などで確定申告する場合は、退職所得も申告書に含める

参照(リンク)

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
  • 国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm
  • 国税庁「No.7421『退職所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7421.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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