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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

セルフメディケーション確定申告の手順|市販薬で節税を税理士が解説

9分で読めます
セルフメディケーション確定申告の手順|市販薬で節税を税理士が解説

セルフメディケーション税制は医療費控除の代わりに使える?

結論として、セルフメディケーション税制は「医療費控除の代わりとして選べる制度」です。ドラッグストア等で購入した対象医薬品の支出が一定額を超える場合、所得控除を受けられます。
ただし、通常の医療費控除と同じ年に併用はできず、どちらか一方を選択します。医療費が多い年は医療費控除、対象市販薬の購入が中心の年はセルフメディケーション税制、といった使い分けがポイントです(選択適用)。
また、この制度は「誰でも市販薬を買えば使える」わけではなく、その年に一定の健康増進の取組(健康診断・予防接種など)を行っていることが前提になります。制度の要件を満たすか、先に確認しておきましょう。

セルフメディケーション税制の仕組みと控除額

控除できる金額はいくら?(12,000円超〜上限88,000円)

セルフメディケーション税制は、対象医薬品の購入費(保険金等で補てんされる部分を除く)のうち、年間12,000円を超える部分が所得控除になります。控除対象となる金額には上限があり、控除額は最大88,000円です。
対象期間は、少なくとも「平成29年(2017年)1月1日から令和8年(2026年)12月31日まで」の支出が対象とされています(延長等の扱いは法令・公表情報に基づき確認が必要です)。

例:対象医薬品の購入が年50,000円の場合

  • 控除額:50,000円 − 12,000円 = 38,000円(上限88,000円以内)

「一定の取組」とは?確定申告で問われる要件

セルフメディケーション税制は、「健康の保持増進・疾病予防の一定の取組」を行っていることが要件です。具体的には、健康診断、予防接種、特定健診、人間ドック等が代表例として整理されています。
国税庁の確定申告特集でも、制度の適用には一定の取組が必要で、申告時は明細書の添付とともに、領収書や一定の取組を証する書類を自宅で保管する運用が示されています。

ここがポイント
「一定の取組」を証明する書類は、確定申告書に添付・提示が不要とされる一方で、税務署から確認を求められる場合に備え、申告期限から5年間は保管します。健康診断結果通知などの書類名や、勤務先名・保険者名の記載要件があるため、手元の書類を事前に点検しておくと安心です。

セルフメディケーション税制の対象になる市販薬の見分け方

対象医薬品の範囲と「対象品目一覧」

対象になるのは、一般用医薬品のうち一定の要件を満たす「特定一般用医薬品等」に該当するものです。制度開始当初からのスイッチOTCに加え、制度見直しにより対象範囲が拡充された経緯もあり、最新の対象品目は厚生労働省が公表する一覧で確認するのが確実です。
実務では、購入したレシートに「セルフメディケーション税制対象」といった表示があるケースが多いものの、表示誤り等の注意喚起もあるため、迷う商品は品目一覧(PDF/Excel)で照合する運用が堅実です。

申告で必要になるのは「領収書提出」ではなく「明細書」

セルフメディケーション税制は、対象医薬品の領収書を提出する方式ではなく、原則として「セルフメディケーション税制の明細書」を確定申告書に添付し、領収書等は保管します。
医療費控除も同様に明細書添付が基本で、領収書の添付は不要とされています(保管義務あり)。この運用を知らず「提出しないとダメ」と誤解している方が多いので、まずは明細書作成を前提に準備しましょう。

医療費控除とセルフメディケーション税制の違い(どちらを選ぶべき?)

同じ「医療費に関する所得控除」でも、下限や対象範囲、向いているケースが異なります。特に重要なのは、同一年分で併用できない点です。

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項目セルフメディケーション税制通常の医療費控除
選択関係医療費控除と選択(併用不可)セルフメディケーション税制と選択(併用不可)
下限額対象医薬品の購入費が12,000円超年間医療費が10万円超(または総所得金額等の5%)
対象支出対象医薬品(特定一般用医薬品等)の購入診療・治療に必要な医療費、医薬品等(要件あり)
要件その年に一定の取組(健診・予防接種等)を実施原則として要件なし(支出内容・目的が要件)
控除上限88,000円(12,000円超部分)最大200万円(計算式による)
書類明細書添付、領収書等は5年保管明細書添付、領収書等は5年保管

判断の目安(実務で多いパターン)

  • 通院や入院、歯科治療などがあり医療費が高額になった年:通常の医療費控除が有利になりやすい
  • 医療費は少ないが、家族分も含め対象市販薬の購入が多い年:セルフメディケーション税制が検討候補
  • 所得が200万円未満の方:医療費控除の下限が「総所得金額等の5%」になるため、医療費控除が意外と使いやすいケースもあります

当法人(税理士法人 辻総合会計)でよくある相談として、「医療費控除10万円に届かないので諦めていたが、対象市販薬の購入が家族で積み上がっており、セルフメディケーション税制なら控除になった」というケースがあります。反対に、治療費がかさんでいるのにセルフメディケーション税制を選んでしまい、控除額が小さくなる例もあるため、年末〜申告前に一度比較試算するのが安全です。

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セルフメディケーション税制の確定申告手順(市販薬の集計から申告まで)

確定申告は「集計→明細書→申告書添付」の順で組み立てるとスムーズです。

Step 1: 対象医薬品の購入費を集計する
レシートや購入記録から、対象医薬品の金額だけを合計します。家族分も「生計を一にする親族」のための購入であれば合算対象です。
対象外の商品(サプリ、日用品等)が混ざりやすいので、対象表示や品目一覧で仕分けします。

Step 2: 「一定の取組」を行ったことを確認し、証拠書類を整理する
健康診断結果通知、予防接種の領収書、特定健診の結果通知など、該当年に実施したことが分かる書類をまとめます。申告時の添付は不要とされますが、後日確認に備え保管します。

Step 3: セルフメディケーション税制の明細書を作成する
「セルフメディケーション税制の明細書」に、購入品目・金額等を記入し、控除額(合計−12,000円、上限88,000円)を計算します。
明細書は国税庁が様式を公表しており、確定申告書に添付します。

Step 4: 確定申告書に反映し、提出する(e-Tax/書面)
確定申告書等作成コーナーやe-Taxで入力する場合も、画面案内に沿って明細書相当を作成・添付できます。
提出後も、レシート(領収書)と一定の取組の書類は5年間保管します。

ここがポイント
医療費控除と同様に、セルフメディケーション税制も「領収書提出」ではなく「明細書添付+保管」が基本です。申告後に書類が見つからないと説明が難しくなるため、申告が終わってからも捨てずに保管してください。

よくある質問

Q: ドラッグストアの購入費は医療費控除の代わりに使えますか? ▼

A:

使える場合があります。対象医薬品(特定一般用医薬品等)の購入費が年間12,000円を超え、かつその年に一定の取組(健診・予防接種など)を行っていれば、セルフメディケーション税制として所得控除を受けられます。一方で、通常の医療費控除と同一年分で併用はできないため、有利な方を選択します。
Q: セルフメディケーション税制の「対象」かどうかは、レシートの表示だけで判断してよいですか? ▼

A:

実務上はレシート表示が手がかりになりますが、表示誤り等の注意喚起もあるため、迷う場合は厚生労働省が公表する対象品目一覧(PDF/Excel)で照合するのが確実です。購入品目が多い場合ほど、一覧ベースでのチェックが有効です。
Q: 医療費が10万円を超えていなくても、医療費控除は使えますか? ▼

A:

所得が一定水準の場合は使える可能性があります。医療費控除の下限は原則10万円ですが、その年の総所得金額等が200万円未満の方は「総所得金額等の5%」が下限になります。したがって、10万円未満でも医療費控除が成立するケースがあります。
Q: 申告時に領収書や健康診断の結果を提出する必要はありますか? ▼

A:

原則として提出は不要です。国税庁の案内では、セルフメディケーション税制の適用には明細書の添付が必要で、領収書や一定の取組を示す書類は自宅で5年間保管する扱いです。税務署から求められた際に提示できるよう整理しておきましょう。

まとめ

  • セルフメディケーション税制は、対象市販薬の購入費が年12,000円を超えると所得控除できる制度
  • 通常の医療費控除と同一年分で併用できず、有利な方を選択する
  • 控除額は「購入費合計−12,000円」、上限は88,000円
  • 対象品目は厚生労働省の一覧で確認し、明細書を作成して確定申告書に添付する
  • 領収書や一定の取組の書類は提出不要だが、申告期限から5年間は保管する

参照ソース

  • 国税庁「セルフメディケーション税制とは(令和7年分 確定申告特集)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/self-medication.htm
  • 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
  • 厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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