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中小企業向けコラム
作成日:2025.09.05
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

接待ゴルフは経費になる?交際費の判断基準|税理士が解説

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接待ゴルフは経費になる?交際費の判断基準|税理士が解説

接待ゴルフは「取引先等との関係強化を目的とする接待」であれば、原則として交際費(法人)/接待交際費(個人事業)として経費計上の対象になります。一方で、目的や参加者が曖昧だったり、社内メンバー中心で実態が「趣味・慰安」と評価されると、税務調査で否認されやすい論点です。特に院長・経営者のゴルフはプライベートとの線引きが難しく、証憑と記録の整備が成否を分けます。

接待ゴルフとは?経費になる基本ロジック

接待ゴルフとは、得意先・仕入先・紹介元など「事業に関係のある者」に対して、接待・供応・慰安・贈答に類する目的でゴルフを行い、その費用を負担する行為を指します。法人税の考え方では、交際費等は「事業関係者への接待等のために支出する費用」と整理されます。

結論としては、次の2点が説明できれば経費になりやすいです。

  • そのゴルフが、事業に関係する相手との関係維持・取引促進を目的としていた
  • 費用負担の範囲が合理的で、社内規程・慣行と整合している(過度に豪華、私的色が強い等がない)

逆に、次のような場合は否認リスクが上がります。

  • 相手先が「友人」「家族」「同級生」など、事業関係性が弱い/説明不能
  • 同じメンバーで頻繁にラウンドしているが、商談や案件の動きが乏しい
  • 領収書のみで、参加者・目的・成果が記録されていない

交際費・会議費・福利厚生費の違い(接待ゴルフの位置づけ)

接待ゴルフを誤って「会議費」「福利厚生費」に入れると、調査で科目振替を求められたり、損金不算入(法人)の計算に影響します。まずは科目の基本整理が重要です。

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区分典型例接待ゴルフの該当可能性税務上の見られ方
交際費(交際費等)取引先への接待・贈答原則ここ目的・参加者・金額の合理性を確認される
会議費取引先との会議の茶菓・弁当等原則該当しにくい「会議の実態」が必要。ゴルフは会議と認められにくい
福利厚生費全従業員向けの社内行事等社内コンペ等は可能性あり「全員に近い参加機会」「社内規程」「過度でない」が鍵
旅費交通費商談の移動費等原則は交際費に含めて一体管理が安全ゴルフ随行の移動は私的混在を疑われやすい
ここがポイント
「接待の場がゴルフである」こと自体は否認理由になりません。問題は、接待としての事業目的と記録が揃っているか、そして私的要素が強くないかです。

法人の場合:交際費等の損金算入の上限と実務の注意点

法人税では、交際費等は原則として損金不算入(税務上は経費にならない)ですが、法人区分に応じて一定の損金算入が認められます。
接待ゴルフは一般に「飲食等」だけでなくプレー代等も含むため、まずは「交際費等」に区分したうえで、会社規模に応じたルールで損金算入可否を判断します。

中小法人(資本金1億円以下等)のポイント:800万円枠 or 飲食50%

国税庁の整理では、資本金1億円以下等の法人は、損金不算入額の計算において「定額控除限度額(年800万円の月割)」などの措置が示されています。
実務では、接待ゴルフを含む交際費等の年間合計が800万円(事業年度が12か月の場合)を超えない範囲で収まるかが、まず一つの目安になります。

  • 交際費等が年800万円以内に収まる設計か(部門別・院長別で月次モニタリング)
  • 超える場合、接待方針(回数・相手先・単価)と記録の厳格化で「説明耐性」を高める

大法人のポイント:飲食等は50%損金、超大型は全額不算入も

国税庁のページでは、一定の法人区分では「飲食等に係る一定部分」や「資本金等の規模」により取扱いが分かれる旨が整理されています。
特に「資本金等が100億円超」の区分では、交際費等が全額損金不算入となる整理が示されています。

「飲食1万円以下」基準は、接待ゴルフにはそのまま当てにくい

法人税の交際費等では、一定の書類保存を条件に「1人当たり1万円以下の飲食等」が交際費等から除外される取扱いがあります。
ただし、接待ゴルフはプレー代(グリーンフィー、キャディフィー等)を含むことが多く、単純に「飲食1万円以下」だけで整理できないのが実務です。飲食(昼食・会食)部分が明確に区分でき、要件を満たす記録がある場合に限り、その飲食部分だけを別管理する発想になります。

経費にする方法:証憑・接待記録の整え方(テンプレ付)

接待ゴルフの成否は、「領収書があるか」よりも「説明できる記録があるか」で決まることが少なくありません。当法人(税理士法人 辻総合会計)では30年以上にわたりクリニック・中小企業の税務調査対応を支援してきましたが、否認リスクが高いのは、費用の大きさそのものよりも記録の欠落です。

Step 1: 支出区分を決めて、科目を固定する

  • 原則:交際費(交際費等)として計上
  • 社内行事(福利厚生)で処理するなら、参加機会の公平性・社内規程・開催案内などをセットで整備

Step 2: 接待記録(メモ)を当日中に残す

最低限、次を残してください(社内で様式統一が推奨)。

  • 実施日、ゴルフ場名
  • 同伴者(社外:会社名・役職・氏名、社内:役職・氏名)
  • 目的(例:紹介案件のお礼、継続取引の条件調整、共同プロジェクトの関係深化 等)
  • 会話・成果(例:見積依頼、次回打合せ日程、決裁者の意向把握 等)
  • 費用内訳(プレー代、飲食代、手土産、送迎等)

Step 3: 領収書・明細を「内訳が分かる形」で保管する

  • ゴルフ場の領収書だけでなく、可能なら「プレーフィー明細」「飲食明細」も保存
  • 電子帳簿保存法対応のスキャン保存を行う場合も、メモと紐づける(検索性が重要)

Step 4: 社内ルール(承認・上限)を作る

  • 例:取引先接待は事前申請、1回上限、同一先の月回数制限
  • 経営者の判断で動ける会社ほど、形式的なルールが「私的」評価を防ぎます
ここがポイント
税務調査でよくある質問は「このゴルフの目的は何ですか?」です。そこで即答できるように、接待記録には「誰にとって何が前進したか」を1行で残してください。

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税務調査で否認されやすいパターンと回避策(ケーススタディ)

否認されやすいパターン1:社外同伴者が実質いない/形だけいる

院長とスタッフ中心で回り、社外同伴者が名義だけ、あるいは取引関係が薄い場合は「慰安・趣味」と見られやすいです。回避策は明確で、事業関係者の実態と目的を記録し、社内参加者の必要性(営業・購買担当等)も説明できるようにします。

否認されやすいパターン2:高額・頻回なのに成果記録がない

同じ相手と毎月のように高額ラウンドをしているのに、案件の進展や打合せの形跡がない場合は、否認リスクが上がります。回避策は「回数・単価の上限」「接待後のフォロー(議事録的メモ)」です。

否認されやすいパターン3:家族・友人が同伴している

家族同伴があると、全体が私的と評価される危険が跳ね上がります。やむを得ず同伴があるなら、費用負担を明確に分け、会社負担は社外接待相当部分のみに限定します(領収書分割・精算書での按分等)。

ケース:クリニックの紹介元ドクターとの接待ゴルフ(匿名)

紹介が多い医師とのラウンドで、紹介患者の傾向や連携ルールを話し合い、次月から紹介フローを変更した事例では、接待記録に「課題」「合意事項」「実施日」を残していたため、調査でも説明が通りました。ポイントは、ゴルフ自体ではなく、その場で行った事業上の合意形成が記録できていたことです。

よくある質問

Q: 接待ゴルフの費用は、何を交際費に含めますか? ▼

A:

一般的にはプレー代(グリーンフィー等)、キャディフィー、カート代、施設利用料、飲食代、手土産等が「接待のための支出」として交際費(交際費等)に含まれやすいです。内訳が分かる明細を保存し、飲食だけ別管理する場合は要件(記録)も整えてください。
Q: 取引先が自分で支払った場合(割り勘)はどう扱いますか? ▼

A:

自社が負担した金額が交際費等になります。共同で接待等を行い費用を分担しても「交際費等の支出があったものとする」という考え方が示されていますので、分担の事実と金額が分かる形で精算記録を残すのが安全です。
Q: 個人事業主でも接待ゴルフは必要経費になりますか? ▼

A:

事業関連性が説明できれば「接待交際費」として必要経費になり得ます。ただし、法人のような制度上の上限とは別に、私的混在が疑われると否認されやすい点は同様です。参加者・目的・成果の記録を法人以上に丁寧に整備してください。
Q: 「飲食1万円以下」なら接待ゴルフも全部OKですか? ▼

A:

いいえ。1人当たり1万円以下で交際費等から除外されるのは「飲食等」に係る費用で、一定の書類保存が前提です。 接待ゴルフはプレー代等が中心になりやすく、飲食の要件だけで全体が除外されるわけではありません。

まとめ

  • 接待ゴルフは、事業関係者への接待として合理性があれば経費計上の対象になり得る
  • 法人は「交際費等」として扱い、会社規模に応じた損金算入ルール(800万円枠等)を前提に管理する
  • 成否は領収書より「参加者・目的・成果」の記録で決まる。接待記録を当日中に残す
  • 家族同伴、頻回・高額、相手先の事業関係性が薄いケースは否認リスクが高い
  • 飲食1万円基準は「飲食等」限定。接待ゴルフ全体を安易に除外しない

(免責)本記事は一般的な税務情報の提供を目的としており、個別具体的な事実関係により結論が異なります。重要な取引や高額支出については、顧問税理士等の専門家に個別相談してください。
(執筆フォーマット参照: )


参照ソース

  • 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
  • 国税庁「租税特別措置法関係通達 第1款 交際費等の範囲」: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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