
執筆者:辻 光明
代表税理士
小規模企業共済 確定申告の掛金控除|iDeCo以外も解説

小規模企業共済の掛金は、確定申告で「所得控除(小規模企業共済等掛金控除)」として差し引けます。ポイントは、その年に支払った掛金の全額が控除対象であることと、申告時に「払込証明書(または二次元バーコード付きの電磁的記録印刷書面)」を用意することです。個人事業主やフリーランスだけでなく、会社員でも年末調整で控除しきれない場合は確定申告で調整できます。
一方で、「小規模企業共済」と似た制度が多く、iDeCo以外にも対象があるため、控除漏れが起きやすいのが実務の悩みです。本記事では、小規模企業共済 確定申告の実務手順を軸に、iDeCo以外の対象、申告書の書き方、e-Tax提出時の扱いまで、税理士法人 辻総合会計の現場目線で整理します。
小規模企業共済等掛金控除とは
小規模企業共済等掛金控除は、一定の「掛金」を支払った場合に受けられる所得控除です。控除額はシンプルで、その年に支払った掛金の全額が控除できます(上限は「掛金制度」ごとに別途設定されている場合がありますが、控除計算自体は「支払額=控除額」の考え方です)。公的整理として、控除対象は次の3区分です。
iDeCo以外も含む「対象となる掛金」
控除対象は次の3つです。
- 中小機構と結んだ小規模企業共済の掛金
- 確定拠出年金法の「企業型年金加入者掛金」または「個人型年金加入者掛金(iDeCo)」
- 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金
控除額の考え方
控除額は、原則として「その年中に実際に支払った掛金の合計」です。年払い・月払いなど支払方法が混在していても、当年の支払額を集計します。
小規模企業共済の掛金控除を確定申告で受ける条件
「条件」といっても難しい要件は多くありません。実務的には次の3点を押さえると、控除漏れが減ります。
条件1:当年に掛金を支払っていること
控除は「支払った年」に発生します。口座振替の引落日が年末年始をまたぐ場合、どちらの年の支払として扱われるかは通帳・明細で確認します。
条件2:申告書の控除欄に金額を記入すること
確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に金額を記入します。作成コーナーを使う場合は、該当画面で「支払掛金」を入力すると合計が反映されます。
条件3:払込証明書(等)を添付または提示すること
控除を受けるには、掛金の証明書等の添付(または提示)が必要です。e-Tax提出でも、証明書の提出省略にはルールがあるため注意します。
小規模企業共済 確定申告の書き方(申告書・e-Tax)
ここでは「小規模企業共済 確定申告 書き方」の実務手順を、紙・e-Taxどちらにも共通する形でまとめます。
書き方の全体像(比較表)
制度が複数あるため、証明書の種類と入力先を整理しておくと迷いません。
| 掛金の種類 | 典型的な加入者 | 控除区分 | 証明書等の例 | 実務の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 個人事業主、役員等 | 小規模企業共済等掛金控除 | 掛金払込証明書 | 引落年の判定(年末年始)に注意 |
| iDeCo(個人型) | 会社員・自営業等 | 小規模企業共済等掛金控除 | 加入者掛金の払込証明書 | 会社の年末調整で控除済みか確認 |
| 企業型DCの加入者掛金 | 企業型加入者(個人負担分) | 小規模企業共済等掛金控除 | 掛金額が分かる証明書等 | 給与天引きの場合、源泉徴収票等との整合性確認 |
| 心身障害者扶養共済 | 加入者(扶養する者) | 小規模企業共済等掛金控除 | 掛金の証明書等 | 地方公共団体の制度である点を確認 |
手順(作成コーナー/紙共通)
Step 1: 当年支払額を集計する
証明書に記載の「当年中に払い込んだ金額」を基本にします。月々の引落明細から積み上げるより、証明書の金額で合わせるほうが検算が容易です。
Step 2: 申告書の「小規模企業共済等掛金控除」に入力(記入)する
確定申告書等作成コーナーでは、該当画面の「支払掛金」欄に入力した合計が反映されます。紙の場合も同様に控除欄へ記入します。
Step 3: 証明書等を添付(または提示)する
控除を受けるために証明書等の添付または提示が必要です。e-Taxの場合も「添付省略」ができる条件や方法があるため、提出方法に応じて扱いを確認します。
Step 4: 他の所得控除との整合(年末調整との二重控除防止)を確認する
会社員で年末調整に出している場合、確定申告で同じ掛金を重ねて控除すると二重控除リスクになります。源泉徴収票や控除申告書の提出状況を確認します。
申告書の「どこに書くか」で迷うとき
紙で作る場合、国税庁の手引きでは所得控除の記入方法が整理されています。「保険料等の種類」や「支払保険料等の計」の考え方を押さえると、控除欄の書き間違いが減ります。
中小企業の税務・経営相談
創業から成長期まで、企業のフェーズに合わせた税務・経営サポートを提供しています。
平日 9:15〜18:15(土日祝休業)
控除漏れ・否認を防ぐ注意点
税務調査まで行かずとも、申告後の照会や更正の原因になるのは「証明書の不備」と「二重控除」です。現場で多い論点を絞って解説します。
証明書の「添付忘れ」と「保管義務」の混同
「e-Taxだから添付いらない」と思い込むケースが散見されます。控除を受ける際には証明書等の添付または提示が必要で、e-Taxでも取扱いが整理されています。提出方法に応じて、添付省略要件や保管義務を確認して運用してください。
年末調整で出したのに、確定申告でも入力してしまう
iDeCoを会社の年末調整で処理している場合、確定申告で同額を入力すると二重控除になります。源泉徴収票に反映されているか、勤務先の控除処理状況を必ず確認します。
企業型DC加入者掛金は「自分が負担している掛金」かを確認
企業型DCは制度設計が企業ごとに異なります。会社負担分と加入者負担分が混在するケースがあるため、控除対象となるのは「加入者掛金」に該当するものか、証明書等で区分を確認します。
よくある質問
Q: 小規模企業共済の掛金控除は、いくらまで控除できますか?
A:
小規模企業共済等掛金控除は、原則として「その年に支払った掛金の全額」を所得から控除できます(控除計算は支払額=控除額の考え方)。まずは証明書記載の当年払込額をそのまま申告書の控除欄へ反映するのが基本です。Q: iDeCo以外に、同じ控除の対象になるものはありますか?
A:
はい。小規模企業共済の掛金のほか、確定拠出年金の企業型年金加入者掛金、地方公共団体の心身障害者扶養共済制度の掛金も対象です。制度名が似ているため、証明書の区分表示を確認してください。Q: e-Taxで提出する場合、払込証明書は添付しなくてよいですか?
A:
e-Taxには添付書類の取扱いに関する整理があり、提出方法により対応が異なります。控除の要件としては証明書等の添付または提示が必要とされているため、e-Taxの案内(添付省略の可否や方法)に沿って処理してください。Q: 確定申告書等作成コーナーでは、どこに入力すれば反映されますか?
A:
作成コーナーでは「小規模企業共済等掛金控除」画面の「支払掛金」欄に入力した金額の合計が表示金額に反映されます。入力場所が分からない場合は、該当のよくある質問を参照すると迷いにくいです。まとめ
- 小規模企業共済の掛金は、確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除できる
- 控除額はその年に支払った掛金の全額が基本で、申告書の控除欄への記入が必要
- iDeCo(個人型)だけでなく、企業型DC加入者掛金や心身障害者扶養共済の掛金も対象に含まれる
- 申告時は払込証明書(等)の添付・提示の扱いに注意し、e-Taxでも要件と運用を確認する
- 年末調整で控除済みかどうかを先に整理すると、二重控除や控除漏れを防げる
参照ソース
- 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー(よくある質問) 小規模企業共済等掛金控除とは」: https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/cat2/cat22/cat223/cid073.html
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー(よくある質問) 小規模企業共済等掛金控除」: https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/ocat2/ocat22/cid353.html
- 国税庁「確定申告の手引(所得控除の記入)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/order3/3-3_11.htm
- 国税庁 e-Tax「確定申告の添付書類(QA)」: https://www.e-tax.nta.go.jp/toiawase/qa/kakutei/tempu01.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
ご注意事項
本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。
税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。
記事の内容は法令の改正等により変更される場合があります。 最新の情報については、関係省庁の公式サイト等でご確認ください。
