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中小企業向けコラム
作成日:2026.02.08
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

太陽光発電の確定申告|売電収入と10kW差を税理士が解説

8分で読めます
太陽光発電の確定申告|売電収入と10kW差を税理士が解説

太陽光発電の売電収入の確定申告は、「家庭用の余剰売電か」「事業としての発電か」で扱いが大きく変わります。とくに10kW未満は自宅利用の“余り電気”を売るケースが多く、10kW以上は売電が主目的(全量売電になりやすい)で、所得区分や消費税の論点が増えがちです。誰にとって何が問題かというと、会社員・個人事業主・法人のいずれでも「申告漏れ」や「経費の取り過ぎ/取り忘れ」が起きやすい点です。税理士法人 辻総合会計では、クリニック等の顧問先を含め再エネ設備の税務相談を継続的に扱っており、現場でつまずきやすいポイントから解説します。

太陽光発電の売電収入は確定申告が必要?判断の全体像

結論として、売電収入がある場合は「所得(利益)」が出れば申告が必要になり得ます。まずは所得区分(雑所得か事業所得か等)と、必要経費(減価償却・維持費など)をどう計上するかを整理します。

  • 自宅で使って余った分を売る(余剰売電)
    一般的に「給与所得者が家庭用として使用し、余剰電力を売却」するなら雑所得と整理されます。
  • 売電が主目的・規模が大きい(全量売電になりやすい)
    それでも「事業として行っているか」で扱いが分かれ、事業性が弱い場合は雑所得になることもあります。
ここがポイント
「10kW未満=必ず雑所得」「10kW以上=必ず事業所得」とは限りません。税務は“規模”だけでなく、反復継続性・設備/人員・帳簿管理などの事業性で判断します。

10kW未満と10kW以上の違い|税務で変わるポイント

10kWは制度上も実務上も分岐点になりやすく、申告の論点が変わります。ここでは「なぜ10kWで話が変わるのか」を税務に寄せて整理します。

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項目10kW未満(家庭用・余剰売電が多い)10kW以上(全量売電が多い)
売電形態自家消費+余剰分を売却売電中心(自家消費が少ない/ないことも)
所得区分の典型雑所得になりやすい事業性があれば事業所得、弱ければ雑所得も
経費の考え方家事按分が重要(売電割合で按分)売電割合が高く按分がシンプルになりやすい
減価償却設備は「機械及び装置」扱いが一般的同左(規模で耐用年数が変わるわけではない)
消費税の論点免税のままのことが多いが要確認課税事業者・インボイス等の検討が増えがち

なお、制度面では10kW以上で全量売電が選択可能になる旨が国税庁の質疑応答事例でも触れられています(税務上の所得区分は事業性で判断)。また、資源エネルギー庁の情報では、FIT価格の表示や消費税相当額の扱い(課税/免税等)に関する注意点が整理されています。

売電収入の所得区分|雑所得か事業所得か(判断基準)

売電収入の確定申告で最も重要なのがここです。

雑所得になりやすいケース(会社員の余剰売電など)

給与所得者が太陽光発電設備を家庭用(家事用資産)として使用し、余剰電力を売る場合は、売電収入は雑所得に該当する考え方が示されています。実務でも、10kW未満の自宅設置で多いパターンです。

事業所得になりやすいケース(事業としての売電、付随業務)

売電を「事業として」行っている、または他に事業所得があり、その付随業務として行う場合は事業所得となり得ます。目安としては次の要素が揃うほど事業性が強くなります。

  • 売電が主目的(売電量・売電収入が相応に大きい)
  • 設備投資・借入・保守契約など事業的な管理がある
  • 帳簿を整備し、収支を継続的に管理している
ここがポイント
事業所得として申告する場合、青色申告の検討(帳簿・届出)や、損益通算・損失の繰越など論点が増えます。安易に選ぶと否認リスクもあるため、判断は慎重に行いましょう。

太陽光の必要経費と減価償却|家事按分の実務

売電収入が雑所得でも事業所得でも、必要経費の核は「減価償却」と「維持管理費」です。国税庁の整理では、太陽光発電設備は一般に「機械及び装置」に分類され、耐用年数は17年とされています。さらに重要なのが、家庭用の場合の業務用割合(売電割合)での按分です。

経費にできる主な項目(例)

  • 減価償却費(設備本体、付属設備など)
  • 保守点検費、修繕費
  • 売電に直接要する通信費(モニタリング等)
  • 借入金利子(条件により) など

按分の基本(余剰売電の場合)

発電量のうち「売却した電力量の割合」を業務用割合として、減価償却費などを按分する考え方が示されています。実務では、電力会社の買取明細や発電モニターの記録で根拠を残すことが大切です。

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Step 1: 年間の売電収入を集計する
電力会社の「購入電力量のお知らせ」「買取明細」等から、1月〜12月分を合計します。

Step 2: 必要経費を整理する(減価償却+維持費)
設備の取得価額、稼働時期、耐用年数、当年の償却費を計算し、売電割合で按分します。保守費等も売電に対応する部分を合理的に按分します。

Step 3: 所得区分に合わせて申告書に入力する
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、家庭用の余剰売電は「雑所得(業務・その他)」として入力する案内があります。事業性が強い場合は事業所得として帳簿に基づき入力します。

Step 4: 根拠資料を保管する
売電明細、設備契約書・請求書、保守契約、発電量記録、按分計算表などをまとめて保管します。

太陽光の税金で注意すべき3つの落とし穴

  • 「入金=全部利益」と誤解して申告し、経費(償却・按分)を取り忘れる
  • 逆に、家事用部分まで経費に入れてしまい、按分根拠が弱い
  • 消費税(課税事業者判定、インボイス、FIT価格の税込/税抜等)の論点を放置する
    売電規模が大きい場合や他事業と合算される場合、消費税の検討が必要になることがあります。資源エネルギー庁の資料でも、認定事業者が課税/免税かで価格の扱いに注意点があります。

よくある質問

Q: 太陽光の売電収入が少額でも確定申告は必要ですか? ▼

A:

「所得(売電収入−必要経費)」が生じ、他の所得と合算して申告が必要となる場合は必要です。給与所得者でも雑所得が一定額を超えると申告対象になるケースがあるため、まずは年間の利益を計算してください。
Q: 10kW以上なら必ず事業所得ですか? ▼

A:

いいえ。10kW以上で全量売電の形になっても、税務上は「事業として行っているか」で判断され、事業性が弱い場合は雑所得となることもあります。設備の規模だけで決めず、管理体制・反復継続性・帳簿の有無などを総合判断します。
Q: 太陽光設備の減価償却は何年で計算しますか? ▼

A:

一般に太陽光発電設備は「機械及び装置」に分類され、耐用年数は17年とされています。家庭用で余剰売電の場合、必要経費にできる減価償却費は売電割合で按分するのが基本です。
Q: 売電の入金に消費税は関係しますか? ▼

A:

関係する場合があります。課税事業者か免税事業者か、FIT/FIPの区分や買取価格の扱いにより、税込/税抜の見え方や経理処理が変わります。売電以外の事業もある方は合算判定になるため、早めに確認しましょう。

まとめ

  • 太陽光の売電収入は「余剰売電(家庭用)」か「事業的売電」かで確定申告の扱いが変わる
  • 10kW未満は雑所得になりやすいが、10kW以上でも事業性が弱ければ雑所得のことがある
  • 家庭用は売電割合での家事按分が核心(減価償却・維持費の根拠を残す)
  • 太陽光設備は一般に「機械及び装置」で耐用年数17年として減価償却を検討
  • 規模が大きい場合や他事業がある場合は消費税の論点も含めて早めに整理する

参照ソース

  • 国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」: https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/44.htm
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナー(よくある質問)太陽光発電設備による売電収入がある場合」: https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/cat2/cat21/cat21e/cid954.html
  • 資源エネルギー庁「買取価格・期間等|FIT・FIP制度」: https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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