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中小企業向けコラム
作成日:2025.07.14
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

起業前の税金基礎5ポイント|2026年版 税理士が解説

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起業前の税金基礎5ポイント|2026年版 税理士が解説

起業前に知っておくべき税金の本質は、「いくら儲かったら、いつ、何の税金を、どう納めるか」を先に設計することです。とくに起業初年度は、手続の遅れや記帳の未整備が、納税額だけでなく資金繰り・融資・税務調査リスクに直結します。ここでは、起業準備中の方が最低限押さえるべき基礎知識を5つのポイントで整理します。

ポイント1:起業で関わる税金を「種類」と「タイミング」で把握する

起業で関わる税金は、ざっくり「利益にかかる税」「売上にかかる税」「人を雇うと増える税務」の3系統です。

  • 利益にかかる税:所得税(個人)/法人税(法人)、住民税、事業税(所得割・法人事業税等)
  • 売上にかかる税:消費税(インボイス制度を含む)
  • 人を雇うと増える税務:源泉所得税(給与・士業報酬など)、年末調整、法定調書

起業直後は「利益が出たら税金」と考えがちですが、実務では先に源泉徴収や消費税(インボイス)の論点が出やすい点が重要です。

ポイント2:個人事業と法人で「税率・経費・手続」が変わる

起業形態は税金だけでなく、社会保険や資金調達にも影響します。まずは違いを俯瞰してください。

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項目個人事業主法人
利益にかかる税所得税(累進)+住民税+事業税法人税等(一定の税率体系)+法人住民税+法人事業税
お金の出し入れ生活費と事業が混ざりやすい役員報酬・配当等の設計が必要
経費の考え方家事按分などで説明力が重要役員社宅・退職金等、制度設計の幅が広い
手続の負荷比較的軽い設立後の届出・決算申告が重い
対外信用業種による取引・採用・融資で有利なことも
ここがポイント
「節税になるから法人化」と短絡的に決めると、役員報酬の設計ミスや社会保険負担の増加で逆効果になりがちです。税金・社会保険・資金繰りをセットで比較するのが安全です。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、起業初年度の相談で多いのは「法人化のタイミング」と「役員報酬の決め方」です。税金は年1回ですが、資金繰りは毎月起きるため、キャッシュの見通しを優先して設計するケースが多い印象です。

ポイント3:開業後すぐの「届出期限」を落とすと不利になる

起業直後は手続が集中します。最低限、以下の期限感だけは先に押さえてください。

開業届(個人事業)

個人で事業を開始した場合、原則として「事業開始等の日から1か月以内」に開業届を提出します。提出はe-Taxまたは書面で可能です。起業日=提出期限の起算点になるため、準備中から日付の整理が必要です。

青色申告(個人事業)

青色申告の承認申請は、原則「その年の3月15日まで」。年の途中(1月16日以後)に開業した場合は「事業開始日から2か月以内」が目安です。青色申告は、控除や赤字繰越など実務上のメリットが大きく、起業初年度ほど影響が出やすい論点です。

インボイス(適格請求書発行事業者)

BtoB取引が中心の場合、「取引先から登録を求められる」ことが先に起きます。登録の効力は原則として税務署長が登録した日から生じるため、商談・契約のタイミングから逆算して検討します。

ポイント4:節税の前に「経費のルール」と「証憑」を固める

起業初年度で差がつくのは、節税テクニックよりも経費の説明可能性です。税務調査で問われやすいのは「事業関連性」と「金額の妥当性」で、レシートがあっても説明できなければ否認リスクがあります。

  • 事業専用口座・専用カードを分ける(混在を減らす)
  • 家事按分(自宅家賃・通信費等)は、根拠(面積・時間・使用実態)を残す
  • 交際費・会議費・広告宣伝費は、相手先・目的・日時が分かるメモを残す
  • 仕入や外注は、契約書・発注書・納品物(成果物)まで揃える
ここがポイント
2025年(令和7年)以降、書面提出でも「控えへの収受日付印が押されない」運用となっています。提出事実の管理は、控えの保管や提出記録(送付記録・e-Taxの送信結果等)で自己防衛する必要があります。

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ポイント5:資金繰りを壊すのは「納税のズレ」と「消費税」の誤算

黒字でも倒産する典型が「納税資金の取り分がない」状態です。起業初年度は利益が不安定なうえ、設備投資や広告費が先行します。

  • 利益が出た月から、税金見込み分を別口座に避難(目安を決めて積立)
  • 消費税は「預り金」の性格が強く、利益と別に資金が必要になりやすい
  • 人を雇うと源泉所得税・年末調整など、事務負荷とキャッシュの動きが増える

特にインボイス登録後は、免税から課税に変わる影響が読みにくく、価格交渉・請求書運用・経理フローを一体で見直す必要があります。売上=手元資金ではない点を、起業前から前提にしてください。

起業直後にやる税務手続きの進め方(実務の型)

Step 1: 事業形態と開始日を確定する

個人事業か法人か、開始日(開業日)を決めます。開業日は届出期限の起算点になり、補助金・融資・契約にも影響します。

Step 2: 開業届(個人)/設立後の届出(法人)を提出する

個人事業は開業届、法人は設立届出などを提出します。電子申請(e-Tax)を使う場合は、利用環境やアカウント準備も同時に進めます。

Step 3: 青色申告・インボイスの要否を判断する

青色申告は起業初年度から恩恵が大きい制度です。インボイスは取引先要請と事業モデル(BtoB/BtoC)から判断します。

Step 4: 記帳の運用ルールを決め、証憑を揃える

科目のルール、経費精算の手順、保存方法を決めます。月次で数字を締める運用にすると、納税見込みと資金繰りが安定します。

よくある質問

Q: 起業した年は、いつ確定申告が必要ですか? ▼

A:

個人事業の場合、原則として翌年に確定申告を行います。事業所得が出る見込みがあるなら、起業年の早い段階で記帳体制を作り、必要なら青色申告の承認申請を期限内に行うのが安全です。
Q: インボイス登録は、起業したら必ず必要ですか? ▼

A:

必ずではありません。主な判断軸は「取引先が仕入税額控除を必要とするBtoBか」「価格転嫁が可能か」「課税事業者化による納税資金を確保できるか」です。契約・見積・請求書運用まで含めて検討します。
Q: 経費にできるか不安な支出は、どう管理すべきですか? ▼

A:

まずは事業関連性が説明できるよう、レシートに目的・相手先・内容のメモを残してください。家事按分が絡むものは、按分根拠(面積、時間、使用頻度など)を固定し、毎年同じ基準で運用すると説明力が上がります。

まとめ

  • 起業の税金は「利益」「売上(消費税)」「雇用(源泉)」の3系統で整理すると迷いにくい
  • 個人事業と法人は、税率だけでなくお金の出し入れ・手続負担が大きく変わる
  • 開業届・青色申告・インボイスは期限とタイミングが重要で、遅れると不利になりやすい
  • 起業初年度は節税より、経費の根拠と証憑整備がリスク低減に直結する
  • 資金繰り対策として、納税見込みの積立と消費税の誤算防止を優先する

参照ソース

  • 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
  • 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁「適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_01.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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