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中小企業向けコラム
作成日:2025.01.18
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

税務調査で指摘されやすいポイント5選|税理士が解説

8分で読めます
税務調査で指摘されやすいポイント5選|税理士が解説

税務調査でよく起きる指摘は、突き詰めると「売上・経費・税額計算の整合性」と「証憑(しょうひょう)保存」の2点に集約されます。税理士法人 辻総合会計では、長年にわたり税務調査の立会い・事前点検を支援してきた経験から、現場で特に多い論点を5つに絞って整理します(個別事情で優先順位は変わります)。

税務調査とは:指摘が起きる理由

税務調査は、申告内容が税法に照らして適正かを、帳簿・請求書・契約書・通帳などで検証する手続です。指摘が起きる主因は次の3つです。

  • 計上ルール(売上の計上時期、費用区分、減価償却など)が曖昧
  • 証憑の不足(領収書の宛名・但書、相手先、参加者、目的が不明)
  • お金の流れ(現金、役員貸付・借入、プライベート混在)との不整合

参考として、国税庁(国税局公表)では、令和6事務年度の譲渡所得に係る調査等で「430件のうち非違あり397件」といった数値も示されており、調査で論点が顕在化するケースは珍しくありません。

ここがポイント
「資料が揃っていない」こと自体が直ちに否認を意味するわけではありませんが、説明のための追加資料が必要になり、調査が長引く主因になります。日常の保存ルールが最も重要です。

税務調査で指摘されやすいポイント5選

ここでは、業種を問わず頻出の5論点を挙げます。特に中小企業・個人事業では、運用の「つい、いつも」が指摘点になりやすい傾向があります。

1. 売上計上の漏れ・計上時期のズレ

  • 現金売上や入金の一部未計上(レジ・予約・受領記録との突合)
  • 売上計上時期のズレ(検収基準、役務提供完了日、請求日基準の混在)
  • 期末の売上・返品・値引・前受金の処理不整合

「入金=売上」ではない取引(前受、立替、預り)も多いため、売上台帳・請求書・入金消込のルールが鍵になります。

2. 交際費・会議費・福利厚生費の区分ミス

交際費等は範囲が広く、会議費・福利厚生費・広告宣伝費との区分が問題になりがちです。飲食費は特に、参加者・目的・相手先・金額基準・保存書類の要件を満たしているかが見られます(一定条件を満たす飲食費は交際費等から除外され得ます)。

  • 領収書だけでは「誰と何のために」が説明できない
  • 社内飲食・役員のみの飲食が混在し、按分根拠がない
  • 福利厚生の「全従業員性」「社会通念上の相当性」が弱い

3. 源泉所得税の漏れ(外注費・役員報酬・給与周り)

源泉徴収は「支払側の義務」です。税務調査では、外注・士業報酬・講演料等が源泉対象か、納付が期限どおりか、納期の特例の運用が適切かを確認されます。

  • 業務委託(個人)に支払っているのに源泉を引いていない
  • 役員賞与・臨時手当の処理が給与体系と整合しない
  • 納付期限(原則:翌月10日、特例あり)を誤認して延滞が発生

4. 消費税(課税区分・仕入税額控除・帳票保存)

消費税は、課税・非課税・不課税、簡易課税の選択、インボイス(適格請求書)保存の有無など、論点が多岐にわたります。

  • 課税区分の誤り(旅費交通費、保険料、家賃、輸出等)
  • 仕入税額控除の根拠書類が不足(保存要件未充足)
  • 事業とプライベート混在の按分が不明確

5. 棚卸資産・固定資産(減価償却)の管理不備

期末棚卸は利益に直結します。固定資産は、資産計上か費用処理か、耐用年数・償却方法・除却の証跡が確認されます。

  • 期末在庫が「前年踏襲」で実地がない
  • 少額資産(消耗品費・工具器具備品)の判定が曖昧
  • 資産の私用・社用混在(車両・PC・通信費など)の按分根拠不足
ここがポイント
「私用混在」は否認されやすい一方で、合理的な按分(使用実績、走行記録、利用ログ等)があれば説明可能なケースもあります。要は“後から作れない根拠”を先に残すことです。

税務調査前の準備方法(手順)

調査通知を受けたら、闇雲に資料を集めるのではなく、論点別に「整合性の線」を作ります。実務上の標準的な流れは次のとおりです。

Step 1: 対象期間・対象税目を確定する

  • 調査対象(法人税・所得税・消費税・源泉等)と期間を確認し、資料範囲を固定します。

Step 2: 5論点で“突合せ”を先に実施する

  • 売上:請求・入金・売上台帳の突合
  • 経費:大口・頻出科目(交際費、旅費、外注費)の内容確認
  • 源泉:支払先属性(個人/法人)と源泉要否、納付状況
  • 消費税:課税区分と帳票保存
  • 在庫・資産:棚卸表、固定資産台帳、償却計算

Step 3: 説明資料(1枚で見せる)を作る

  • 「社内ルール」「例外処理の判断基準」「按分根拠」をA4数枚に整理すると、口頭説明のブレが減ります。

Step 4: 当日の対応方針を決める

  • 事実確認は正確に、推測で答えない
  • その場で出せない資料は「期日を決めて提出」
  • 訂正が必要なら、修正申告の要否を専門家と検討

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指摘を減らすチェックリストと比較表

以下は、調査で求められやすい資料と、社内で事前点検すべき観点を整理した比較表です。

←横にスクロールできます→
論点(頻出)典型的な指摘事前に揃える資料社内チェックの観点
売上計上期ずれ、未計上、前受処理ミス売上台帳、請求書、入金明細、受注/検収記録計上基準が統一されているか、入金消込の例外が説明できるか
交際費等会議費・福利厚生との区分領収書、参加者名簿、目的メモ、社内規程相手先・人数・目的が残っているか、社内飲食の扱いが一貫しているか
源泉所得税源泉漏れ、納付遅延支払一覧、契約書、請求書、納付書控支払先が個人か、源泉対象か、納期(特例含む)が守られているか
消費税課税区分誤り、控除根拠不足仕入帳、請求書等、区分表、保存状況インボイス/帳票保存が揃うか、家事按分の根拠があるか
棚卸・固定資産在庫過少、資産/費用誤り棚卸表、固定資産台帳、償却明細実地棚卸の痕跡、耐用年数、除却・売却の証跡が残っているか

参考データ(国税局公表)として、令和6事務年度の譲渡所得に係る調査等では「430件のうち非違あり397件」とされており、事前点検での“論点つぶし”が調査負担の軽減につながります。

よくある質問

Q: 税務調査の連絡が来たら、まず何から始めればよいですか? ▼

A:

対象期間と税目を確定したうえで、「売上」「交際費等」「源泉」「消費税」「棚卸・固定資産」の5論点で突合せを先に行うのが効率的です。資料を集める前に、論点別に“整合性の線”を作ると、調査が短くなります。
Q: 領収書がない経費は必ず否認されますか? ▼

A:

必ずしも即否認ではありませんが、説明できる追加資料(請求書、クレカ明細、出金伝票、相手先とのメール等)が必要になります。特に交際費等は「相手先・目的・人数」が重要なので、日常的にメモを残す運用が有効です。
Q: 源泉所得税の「納期の特例」を使っています。税務調査で見られる点は? ▼

A:

特例の要件(常時10人未満等)を満たしているか、対象となる税目の範囲を誤っていないか、納付期限(半年分を定められた期限まで)が守られているかが確認されます。外注費(個人)や士業報酬が混在する場合は、源泉要否の判定表を用意すると説明が容易です。

まとめ

  • 税務調査の指摘は「整合性」と「証憑保存」に集約され、まず5論点で点検すると効率的です
  • 指摘頻出は、売上計上、交際費等、源泉所得税、消費税、棚卸・固定資産の5分野です
  • 調査前は、対象期間・税目の確定→突合せ→説明資料化→当日方針の順で準備します
  • 領収書だけでなく、相手先・目的・按分根拠など“後から作れない情報”を残す運用が重要です
  • 迷う論点は、事前に専門家と判断基準を固定し、当日の説明のブレをなくします

参照ソース

  • 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
  • 国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm
  • 国税庁(国税局)「Ⅰ 調査等の状況」: https://www.nta.go.jp/about/organization/kanazawa/release/r06/shotoku_shohi/01.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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