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中小企業向けコラム
作成日:2025.08.25
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

税務調査が来たらどうする?準備と対応|税理士が解説

8分で読めます
税務調査が来たらどうする?準備と対応|税理士が解説

税務調査が来たらまず何をする?結論

税務調査が来たら、最初にやるべきことは「事前通知の内容を正確に把握し、対象期間と対象資料を揃え、説明できる状態に整える」ことです。慌てて帳簿を作り直すのではなく、事実関係を整理し、当日の対応窓口と方針(誰が話すか、何を出すか)を決めます。事前準備の質が、調査の時間と追加資料の量を左右します。

税務調査とは何か(任意調査と強制調査の違い)

一般的に企業や個人事業者が経験する税務調査は、税務署等が行う「任意の調査(質問検査等)」です。刑事事件としての「査察(強制調査)」とは性質が異なり、通常は事前連絡のうえ日程調整して実施されます。

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項目任意調査(質問検査等)強制調査(査察)
目的申告内容の確認・是正悪質な脱税の立証
進め方日程調整、帳簿提示・質問裁判所令状等に基づく捜索差押え等
対応事実確認と説明が中心弁護士対応を含む重大局面

実務上は、まず「任意調査」の想定で準備を進め、通知内容に不明点があれば早期に確認します。

税務調査の事前通知で確認すべきポイント

税務署から連絡が来たら、口頭連絡であっても内容をメモし、可能なら書面・メール等で残します。国税庁の通達では、実地の調査を行う際に通知する事項として、調査対象期間や対象となる帳簿書類等が整理されています。

確認の要点は次のとおりです。

  • 調査の目的(申告内容の確認、特定論点の確認 など)
  • 調査の対象期間(どの事業年度・課税期間か)
  • 調査対象となる帳簿書類その他の物件(総勘定元帳、請求書、契約書、通帳、電子取引データ等)
  • 実施日時・場所(事務所/店舗/税務署など)と所要日数の見込み
  • 税務代理人(税理士)へ連絡してよいか、立会い可否

なお、一定の場合には事前通知を要しない取扱いがある点も、国税庁資料で整理されています。

ここがポイント
「調査対象期間=通知された期間だけ」と決めつけるのは危険です。通達上、必要があれば通知期間以外の帳簿書類が対象となり得る旨が示されています。準備は前後期間も含めて一段広めに行うのが安全です。

税務調査の事前準備チェックリスト(当日までにやること)

調査対応は、準備の段階で8割が決まります。ポイントは「出せる資料を揃える」だけでなく、「説明の筋道を作る」ことです。

Step 1: 社内の対応体制を決める

調査官対応の窓口(原則1名)を決め、当日の同席者を最小限にします。担当者が複数回答すると、説明の整合性が崩れやすくなります。

Step 2: 事前通知を棚卸しし、論点を仮説立てする

売上計上時期、外注費、交際費、役員報酬、棚卸、消費税(課税/非課税・仕入税額控除)など、狙われやすい論点を洗い出します。

Step 3: 帳簿・証憑を「ひも付け」して揃える

総勘定元帳→補助簿→請求書/領収書→入出金(通帳・決済明細)の順で、取引が追える状態にします。電子データはフォルダ構成と検索性を整えます。

Step 4: 保存期間・保存要件を再確認する

たとえば消費税の帳簿は、一定事項の記載と原則7年間の保存が求められる旨が国税庁で示されています。
(適用税目・制度により要件は異なります。)

Step 5: 事実関係の説明メモを作成する

「なぜその処理にしたか」を、契約書・社内規程・稟議・メール等の根拠に結び付けて1取引1枚程度で整理します。調査当日は、このメモが回答品質を安定させます。

Step 6: 税理士に共有し、想定問答を準備する

税理士立会いは、論点整理と説明の交通整理に有効です。過去に指摘されやすい処理(旅費規程未整備、役員関連取引の根拠不足等)は、事前に補強します。

ここがポイント
「帳簿を整える」ことと「数字を作り替える」ことは別物です。後者はリスクが高く、発見されると説明困難になります。準備はあくまで事実の整理と証拠の所在確認に徹します。

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税務調査当日の対応方法(やってよいこと・避けること)

当日は、落ち着いて「事実ベース」で対応します。ポイントは、過不足なく出し、聞かれたことに答えることです。

  • やってよいこと

    • 求められた資料を速やかに提示し、追加資料は期限を区切って提出する
    • 不明点は「確認して折り返す」と述べ、即答を避ける
    • 税務代理人(税理士)を通じて論点整理して回答する
  • 避けること

    • 推測で答える(「たぶん」「いつもそうしている」)
    • その場で帳簿処理を変更する、証憑を作り直す
    • 調査官の発言を「確定」と受け止め、早期に譲歩する

調査官の質問意図は「金額」よりも「取引実態」と「整合性」にあります。売上・経費・在庫・資金の流れがつながる説明を心がけましょう。

指摘を受けた後の手続(修正申告・更正の請求)

調査後に論点が整理され、申告誤りが判明した場合、対応は大きく2つです。

  • 申告税額が少なかった(過少申告)場合:修正申告
  • 申告税額が多かった(過大申告)場合:更正の請求

国税庁の案内でも、過少申告に気付いたときは修正申告、納め過ぎの場合は更正の請求により還付となり得ることが説明されています。
また、税務調査手続に関するFAQでは、更正の請求期間が5年に延長された旨など、手続面のポイントが整理されています。

実務上は、調査官の見解を踏まえつつも、契約条件・役務提供の実態・対価の合理性などを再点検し、「争点が残るか」「是正した方がコストが低いか」を税理士と整理して意思決定します。

よくある質問

Q: 税務調査は断れますか? ▼

A:

一般的な税務調査(任意調査)は協力が前提ですが、日程・場所の変更など合理的理由があれば調整の余地があります。事前通知に関する取扱いは国税庁資料でも整理されています。
Q: 当日、求められた資料をすぐ出せない場合はどうすべきですか? ▼

A:

「どの資料を、いつまでに提出するか」を明確にし、期限を区切って対応します。不明なまま推測で回答せず、事実確認のうえで提出・説明する方が結果的に早く終わります。
Q: 指摘されたら必ず修正申告しないといけませんか? ▼

A:

必ずしも即断は不要です。事実関係と法令解釈を整理し、修正申告が妥当か、反論余地があるかを検討します。過少申告に気付いた場合の修正申告、過大申告の場合の更正の請求は国税庁でも案内されています。

まとめ

  • 税務調査の初動は、事前通知の内容(対象期間・対象資料・日時場所)を正確に把握する
  • 準備は「資料を揃える」だけでなく、取引実態を根拠資料にひも付けて説明できる状態にする
  • 当日は推測回答を避け、事実確認と期限設定で追加資料に対応する
  • 調査後は修正申告・更正の請求の選択肢を整理し、コストと争点で意思決定する
  • 早期に税理士へ共有し、論点整理と想定問答で対応品質を安定させる

参照ソース

  • 国税庁「第4章 法第74条の9~法第74条の11関係(事前通知及び調査の終了の際の手続)」: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm
  • 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」: https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm
  • 国税庁「No.6621 帳簿の記載事項と保存」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6621.htm
  • 国税庁「【申告が間違っていた場合】」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/07.htm

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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