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中小企業向けコラム
作成日:2025.05.22
更新日:2026.01.02
辻 光明

執筆者:辻 光明

代表税理士

減価償却とは?計算方法と耐用年数一覧|税理士が解説

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減価償却とは?計算方法と耐用年数一覧|税理士が解説

減価償却とは?まず結論(経費化の「時期」を調整する仕組み)

減価償却とは、事業で長期間使う資産(建物・設備・車・PCなど)の購入代金を、使える期間に応じて毎年の経費に分けて計上する手続です。購入した年に全額を経費にできないことが多く、減価償却費として毎年少しずつ必要経費(法人は損金)にします。土地や骨とう品など、価値が減らない資産は原則として減価償却の対象外です(国税庁の基本整理に基づく)。

当法人(税理士法人 辻総合会計)でも、開業医・クリニックや中小企業の設備投資相談で「今年買ったのに、なぜ全部経費にならないのか」「耐用年数の選び方が分からない」といった相談が多くあります。本記事では、実務で迷いやすい計算方法と耐用年数の見方を、申告・決算でそのまま使える形にまとめます。

減価償却の計算方法(定額法・定率法)と基本式

代表的な2つ:定額法と定率法の違い

減価償却の計算は、原則として「方法(定額法/定率法など)」と「法定耐用年数」で決まります。個人事業の一般的なケースでは、定額法が基本になります。

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項目定額法定率法
償却費の出方毎年ほぼ同額初年度が大きく、年々小さくなる(一定条件で均等に切替)
計算の基本取得価額 × 償却率未償却残高 × 償却率(一定条件で改定取得価額×改定償却率)
向き不向き収益が安定・管理が簡単初期費用回収を早めたいが、制度上の制約・届出に注意

定額法(基本式)と計算例

定額法は、原則として毎年同額の償却費になります。

  • 年間の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
  • 年の途中で使い始めた場合:上記を12で割って、使用月数分を按分

例:取得価額100万円、耐用年数10年(償却率0.100)の資産を1年フル使用

  • 償却費=1,000,000円×0.100=100,000円

定率法(基本式)と計算の考え方

定率法は「未償却残高」に率を掛けるため、早い年ほど償却が進みます。一定の年に「償却保証額」を下回ると、以後は均等に近い計算へ切り替わります。国税庁の計算例(取得価額100万円、耐用年数10年)では、初年度の償却が定額法より大きくなることが示されています。

ここがポイント
実務では「自分は定率法でよいのか」が論点になります。個人事業開始時は、届出がないと法定の方法(一般的に定額法)となる扱いです。資産の種類や取得時期により、そもそも定率法が選べないもの(例:一定時期以降の建物附属設備・構築物など)もあるため注意してください。

10万円・20万円・30万円のルール(少額資産の扱いを整理)

減価償却で現場が最も混乱しやすいのが、「少額資産」の分岐です。ポイントは取得価額の区分で処理が変わることです(消費税の税込/税抜の判定は経理方式による)。

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取得価額原則的な処理実務上のキーワード
10万円未満その年の経費(必要経費/損金)少額(減価償却しない)
10万円以上20万円未満3年均等で経費化できる制度あり一括償却資産(3分の1ずつ)
10万円以上30万円未満要件を満たす場合、年300万円まで即時費用化できる特例30万円未満の特例(期限あり)

10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等)

一括償却資産は、対象となる資産をまとめて「3年間で均等に」必要経費にできる制度です。個人事業でも使い勝手が良い一方、対象外(一定のリース資産など)や条件があります。

  • 1年あたりの必要経費:取得価額合計 × 1/3(3年間)

10万円以上30万円未満:少額減価償却資産の特例(中小企業等)

一定の青色申告者等が、期限内に取得し事業供用した一定の資産について、年300万円を上限として取得価額をその年の経費(法人は損金)にできます。設備投資が多い年の利益調整に使われがちですが、他制度との重複制限などがあるため、適用判定は慎重に行います。

ここがポイント
令和4年4月1日以降に取得した資産で「貸付けの用」に供したもの(主要業務としての貸付け等を除く)は、10万・20万・30万円の各扱いが使えない場合があります。レンタル・短期貸出を行う業種は、用途判定を先に行うのが安全です。

耐用年数一覧(代表例)と調べ方のコツ

耐用年数は「資産の種類」「構造・用途」「業種による細目」で決まります。まずは国税庁の耐用年数表で該当箇所を確認し、掲載がない場合は財務省令の別表(国税庁案内)へ進む、という順番が実務的です。

主な耐用年数(代表例)

以下は、問い合わせの多い資産を中心にした代表例です。実際には資産の細目・仕様で年数が変わるため、必ず耐用年数表の該当行で確認してください。

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資産区分例耐用年数(代表例)
器具・備品パソコン(一般)4年
器具・備品応接セット・キャビネット等(家具)8年
器具・備品事務机・いす等15年(素材・用途で差あり)
車両運搬具普通自動車(用途・排気量区分あり)区分により異なる
建物附属設備電気設備・給排水衛生設備など区分により異なる
機械装置業種別の設備(製造・医療等)業種・設備で大きく異なる

「車は何年?」「内装工事は何年?」は、資産の区分(車両運搬具、建物附属設備、構築物、器具備品など)を間違えると耐用年数がズレます。現場では、見積書の内訳(設備/工事/備品)を資産区分に振り分ける段階が最重要です。

中古資産はどうする?(新品の年数をそのまま使わない)

中古資産は、一定の考え方で耐用年数を見積もるルールがあります。新品の耐用年数をそのまま当てはめず、取得時点の使用状況や経過年数を踏まえて算定します。中古車・中古医療機器・中古厨房機器などはここでミスが多いため、購入時に「中古耐用年数の計算」をセットで行うのが実務的です(詳細は耐用年数の取扱通達等を参照)。

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確定申告・決算での実務手順(仕訳と申告書の要点)

ここからは、実務での「計上の流れ」をステップで整理します。会計ソフトを使っていても、資産登録の判断が誤ると減価償却費が自動計算されず、申告ミスに直結します。

Step 1: 取得価額と資産区分を確定する
購入代金だけでなく、運賃・設置費など「使用するために直接要した費用」を含めて取得価額を確定します。内装・設備は見積内訳から区分(建物附属設備/器具備品等)を切り分けます。

Step 2: 耐用年数と償却方法を決める(届出要否も確認)
耐用年数表で年数を特定し、償却方法(定額法/定率法など)を選定します。個人事業の開始・変更時は、届出期限や法定方法の扱いに注意します。

Step 3: 少額ルール(10万・20万・30万)に当てはめる
10万円未満で即時経費か、10~20万円で一括償却か、10~30万円で特例を使うかを決めます。複数購入がある年は「どれに特例枠を使うか」を先に設計します。

Step 4: 月割計算(期中取得・期中除却)を反映して償却費を計上する
年の途中で事業供用した場合、12分の月割で計上します。売却・廃棄・除却がある場合は、除却損や売却損益の処理もセットで確認します。

Step 5: 申告書(決算書)の減価償却明細を整える
青色申告決算書や法人の別表等で、資産ごとの償却費・期末残高が整合しているかをチェックします。会計ソフトの固定資産台帳と申告書の明細が一致しているかが最終関門です。

よくある質問

Q: 減価償却は、払ったお金(キャッシュ)と同じタイミングで経費になりますか? ▼

A:

原則は一致しません。支払いは購入時に発生しても、税務上は耐用年数に応じて減価償却費として毎年費用配分します。例外として10万円未満の資産などは、その年に経費化できる場合があります。
Q: 10万円以上30万円未満なら、すべてその年に経費にできますか? ▼

A:

いつでも自動的にできるわけではありません。一定の青色申告者等に認められる特例で、年300万円の上限や対象外資産、他制度との重複制限などがあります。取得時期(期限)もあるため、条文ベースで適用可否を確認してください。
Q: 耐用年数が分からない資産はどう調べればよいですか? ▼

A:

まず国税庁の耐用年数表(PDF)で「資産区分→細目」を特定し、掲載がない場合は国税庁が案内する別表・通達(耐用年数の取扱い)に進むのが王道です。内装や設備は「見積内訳から資産区分を分ける」ことが最初のポイントになります。

まとめ

  • 減価償却とは、取得費を使用可能期間に応じて費用配分する手続
  • 計算は「耐用年数」と「償却方法(定額法/定率法等)」で決まる
  • 10万円・20万円・30万円未満のルールは処理が分岐し、適用要件の確認が必須
  • 耐用年数は資産区分の判定が最重要(内装・設備・備品でミスが多い)
  • 固定資産台帳と申告書明細の整合が、申告実務の最終チェックポイント

参照ソース

  • 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
  • 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm
  • 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(PDF)」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
  • 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナー:一括償却資産とは」: https://www.keisan.nta.go.jp/r5yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/ikkatsushokyaku.html

この記事を書いた人

辻 光明

辻 光明

代表税理士

税理士 / 認定経営革新等支援機関

税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。

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本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

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