
執筆者:辻 光明
代表税理士
2026年の確定申告のやり方|青色申告手順

2026年の確定申告は何をする?対象・期限・ゴール
2026年の個人事業主の確定申告(主に令和7年分)は、「1年間の売上・経費を集計して所得税等を計算し、期限までに申告・納税する」手続です。青色申告の場合は、帳簿と決算書(青色申告決算書)を整え、控除などの特典を正しく適用することが実務の肝になります。
誰にとって何が問題かというと、日々忙しい個人事業主にとって「記帳が後回しになり、申告期限直前に集計・証憑探し・入力が集中する」点が最大のボトルネックではないでしょうか。ここでは、準備→作成→提出までを“作業手順”に落とし込みます。
まず期限です。令和7年分の申告所得税等の確定申告の法定納期限は、2026年は3月15日が休日等に当たる関係で2026年3月16日となります。あわせて、課税事業者の方は消費税等の申告・納付期限(原則)も意識し、2026年3月31日までに対応が必要です。
青色申告とは?白色との違いと65万円控除の考え方
青色申告は、所定のルールで記帳し、帳簿に基づき正しい申告をすることで、税制上の特典を受けられる制度です。実務上のメリットは、代表的には青色申告特別控除です(10万円/55万円/一定要件で65万円)。
「青色か白色か」で迷う方は、まず次の比較で判断すると整理しやすくなります。
| 比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 事前手続 | 原則必要(青色申告承認申請書) | 不要 |
| 記帳 | 原則として帳簿作成(複式簿記推奨) | 記帳は必要だが簡易的になりやすい |
| 申告書類 | 青色申告決算書+確定申告書 | 収支内訳書+確定申告書 |
| 特典 | 特別控除(10/55/65万円など) | 原則なし |
特に65万円控除は「要件を満たしたつもりが、実は55万円になっていた」という相談が現場で多い領域です。65万円を狙うなら、e-Tax送信(または優良な電子帳簿保存)などの要件が絡みます。逆に言うと、要件が満たせない場合は「55万円で堅実に取り切る」設計も合理的です。
青色申告の事前準備:申請・帳簿・必要書類を揃える
青色申告承認申請書の期限(新規・切替の注意)
青色申告を始めるには、原則として「青色申告をしようとする年の3月15日まで」に申請書を提出します。年の途中(1月16日以後)に新たに事業開始した場合は、原則として「事業開始等の日から2か月以内」が期限になります。ここを逃すと、その年は青色の特典が使えない可能性があるため、最優先で確認してください。
記帳の基本:複式簿記と勘定科目の“型”を作る
青色申告の実務は、ひと言でいえば「帳簿の品質が申告の品質を決める」です。税理士法人 辻総合会計でも、申告直前の混乱は多くが“記帳の型がない”ことに起因します。
最低限、次を固めると後工程が大幅に軽くなります。
- 売上の計上基準(請求日/入金日など)
- 経費の判断基準(事業関連性、家事按分のルール)
- 現金・預金・クレカ・電子マネーの入出金ルート(混在を減らす)
- 固定資産(PC、車両、内装等)の管理台帳
必要書類チェック(決算書・証憑・控除)
青色申告の提出物は、概ね次のセットで考えると漏れにくいです。
- 青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表 など)
- 確定申告書(所得税等)
- 各種控除の証明(生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除 等)
- 収入に関する資料(売上台帳、請求書控、入金明細 等)
- 経費に関する資料(領収書、クレカ明細、電子取引データ 等)
2026年の青色申告:確定申告の手順(作成→提出→納税)
ここからは、作業を“やる順番”に並べます。途中で迷ったら、手順に戻ってください。
Step 1: 申告の前提を確定する(令和7年分・課税区分)
- 対象期間:原則として2025年1月1日〜12月31日(令和7年分)
- 申告の締切:申告所得税等は2026年3月16日まで
- 消費税:課税事業者は2026年3月31日まで(該当者のみ)
- 青色特典(10/55/65万円)をどこまで狙うか方針決定
Step 2: 1年分の取引を締める(売上・経費・未払未収・棚卸)
- 売上:入金漏れ・計上漏れを通帳や決済明細と突合
- 経費:科目ごとに整理し、家事按分(通信費、車両費等)をルール化
- 未収入金・未払金:年末時点の残高を整理
- 在庫:物販がある場合は棚卸を実施(期末在庫が利益を左右)
Step 3: 青色申告決算書を作成する(損益と貸借を固める)
- 損益計算書:売上総利益、経費、事業所得を確定
- 減価償却:固定資産台帳を作り、償却費を計上
- 貸借対照表:現金・預金・売掛・買掛・借入の残高を合わせる
ここがズレる場合、記帳の抜け漏れが残っています。
Step 4: 確定申告書を作成する(控除・税額計算)
- 所得控除:社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、各種保険料控除など
- 税額控除:該当があれば適用要件を確認
- 青色申告特別控除:65万円/55万円/10万円の区分を最終確定
Step 5: 提出(e-Tax or 書面)と納税(振替・クレカ・振込等)
- 可能ならe-Taxで提出し、提出控え(送信結果)を保管
- 納税方法を決め、納付まで完了させる(「提出したが納付していない」を防止)
- 住民税・事業税の影響も見据え、資金繰りを確認
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よくあるミスと注意点:青色申告で損をしないために
65万円控除の“落とし穴”を避ける
65万円控除は、55万円控除の要件に加え、e-Taxで期限までに申告書と青色申告決算書のデータ送信を行う等の追加要件が絡みます。要件が揃わない場合は控除額が変わるため、年末までに「自分はどのルートで65万円要件を満たすか」を決めておくことが重要です。
申告期限だけでなく、消費税期限も並走する
所得税の確定申告だけに集中していると、課税事業者の方は消費税申告が遅れがちです。3月後半は業務が逼迫しやすいため、2月中に所得税の骨格(損益)を固め、3月は提出・納付と消費税に回す配分がお勧めです。
“証憑がない経費”を後から作らない
領収書がない、内容が不明、私用混在などは、税務調査の論点になりやすい領域です。電子取引データも含め、入手時点で保管ルールを決めておくと、申告直前の手戻りが減ります。
よくある質問
Q: 2026年の確定申告はいつまでですか?
A:
令和7年分の申告所得税等の確定申告の法定納期限は、2026年は3月15日が休日等に当たるため**2026年3月16日**です。課税事業者の消費税等(原則)は**2026年3月31日**が期限です。Q: 青色申告を始めるには、いつまでに申請が必要ですか?
A:
原則として、青色申告をしようとする年の**3月15日まで**に青色申告承認申請書を提出します。年の途中(1月16日以後)に新たに事業を開始した場合は、原則として**事業開始等の日から2か月以内**が期限です。Q: 65万円控除は誰でも受けられますか?
A:
65万円控除は、55万円控除の要件に加え、e-Taxで期限内に申告書と青色申告決算書をデータ送信する等の追加要件を満たす必要があります。要件を満たせない場合は、55万円または10万円控除になるため、事前に要件を確認して運用を合わせることが大切です。まとめ
- 2026年の確定申告(令和7年分)は、期限と作業工程を先に固定すると失敗しにくい
- 青色申告は、青色申告決算書と帳簿の品質がそのまま申告の品質になる
- 申請(青色承認申請)・記帳・証憑整理を前倒しし、申告直前の集中を避ける
- 65万円控除は要件があるため、年末までに運用(e-Tax等)を決めておく
- 所得税だけでなく、該当者は消費税申告期限も並走で管理する
参照ソース
- 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」: https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200042/noufu_kigen.htm
- 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
この記事を書いた人

辻 光明
代表税理士
税理士 / 認定経営革新等支援機関
税理士法人 辻総合会計の代表。クリニック開業支援・医療法人設立・クラウド会計導入を得意とし、オンラインでの税務顧問サービスを推進。
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