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クリニック向けコラム
作成日:2026.02.04
辻 勝

執筆者:辻 勝

会長税理士

心療内科開業ガイド2026|診療単価・患者単価・収益シミュレーションを税理士が解説

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心療内科開業ガイド2026|診療単価・患者単価・収益シミュレーションを税理士が解説

心療内科開業ガイド2026|診療単価・患者単価・収益シミュレーションを税理士が解説

メンタルヘルス需要の高まりを受け、心療内科の開業を検討する医師が増えています。ストレス社会と言われる現代において、心療内科は将来性の高い診療科のひとつです。

本記事では、医療機関の開業支援を専門とする税理士の視点から、心療内科開業に必要な費用、診療報酬の仕組み、収益シミュレーションまで詳しく解説します。


心療内科の市場環境|メンタルヘルス需要が急拡大

増加し続ける精神疾患患者数

厚生労働省の調査によると、精神疾患を有する総患者数は約615万人(令和5年時点)に達しています。この数字は20年前と比較して約2倍に増加しており、今後も増加傾向が続くと予測されています。

特に顕著な増加が見られるのは以下の疾患です:

  • うつ病・気分障害: 約172万人
  • 不安障害・神経症性障害: 約93万人
  • 適応障害: 年々増加傾向

心療内科が求められる社会的背景

心療内科の需要が高まる背景には、以下の要因があります:

  • 働き方改革とストレスマネジメント: 企業のメンタルヘルス対策義務化
  • コロナ禍以降のメンタルヘルス意識向上: 心の健康への関心が社会全体で高まる
  • 受診のハードルの低下: 「心療内科」という名称が精神科より抵抗感が少ない
  • オンライン診療の普及: 通院のハードルが下がり、受診者増加

こうした環境から、心療内科は開業後の集患がしやすい診療科として注目されています。


心療内科と精神科の違い|標榜する診療科の選び方

定義上の違い

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項目心療内科精神科
対象疾患心身症(ストレス性身体疾患)精神疾患全般
主な症状頭痛、胃痛、動悸、不眠など幻覚、妄想、重度うつなど
アプローチ身体症状から心理面にアプローチ精神症状を直接治療
患者層比較的軽症、初診患者が多い重症患者、継続治療が中心

実際の開業では

実際には、「心療内科・精神科」と両方を標榜するクリニックが大半です。これにより、軽症から中等症まで幅広い患者さんに対応できます。

税理士からのアドバイス:標榜科目によって診療報酬の算定に大きな違いはありませんが、「心療内科」を前面に出すことで、初めて受診する患者さんの心理的ハードルを下げる効果があります。


心療内科開業の初期費用|低コストで始められる理由

初期費用の目安

心療内科は、他の診療科と比較して初期費用が低く抑えられるのが大きな特徴です。

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項目金額目安
物件取得費(保証金・礼金等)300〜500万円
内装工事費500〜1,000万円
医療機器・備品200〜400万円
電子カルテ・システム100〜200万円
開業広告・HP作成100〜200万円
運転資金(3〜6ヶ月分)500〜1,000万円
合計1,700〜3,300万円

低コストで開業できる理由

心療内科が低コストで開業できる理由は以下の通りです:

  1. 高額な医療機器が不要: CTやMRIなどの画像診断機器が必須ではない
  2. 広いスペースが不要: 診察室と待合室があれば開業可能(15〜30坪程度)
  3. スタッフ数が少なくて済む: 医師1名+受付1〜2名でスタート可能
  4. 検査機器が限定的: 血液検査は外注で対応可能

比較参考:

  • 内科クリニック: 3,000〜5,000万円
  • 眼科クリニック: 5,000〜8,000万円
  • 整形外科クリニック: 6,000〜1億円

心療内科は開業資金を抑えながら、安定収益を目指せる診療科と言えます。


診療報酬の仕組み|通院精神療法の点数を理解する

心療内科の主な診療報酬項目

心療内科の収益の柱となるのは、**通院精神療法(I002)**です。令和6年度診療報酬改定に基づく点数は以下の通りです。

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区分点数概要
通院精神療法(30分以上)400点初診時・継続的な精神療法
通院精神療法(30分未満)330点標準的な診療
初診料288点初回受診時
再診料73点2回目以降
外来管理加算52点処置等がない場合に算定
処方料42点薬を処方した場合
処方箋料68点院外処方の場合

診療単価の計算例

初診患者(30分以上診療)の場合:

  • 初診料: 288点
  • 通院精神療法(30分以上): 400点
  • 処方箋料: 68点
  • 合計: 756点(約7,560円)

再診患者(30分未満診療)の場合:

  • 再診料: 73点
  • 外来管理加算: 52点
  • 通院精神療法(30分未満): 330点
  • 処方箋料: 68点
  • 合計: 523点(約5,230円)

加算で単価を上げる

以下の加算を取得することで、診療単価を引き上げることが可能です:

  • 精神科継続外来支援・指導料: 55点
  • 療養生活環境整備指導加算: 40点
  • 特定薬剤副作用評価加算: 25点
  • 精神科オンライン診療料: 対面と同等の点数

税理士からのアドバイス:開業初期から施設基準の届出を計画的に行い、算定できる加算を増やすことが収益向上のカギです。


収益シミュレーション|1日の患者数と年収目安

1日あたりの患者数の目安

心療内科の診療は、1人あたりの診察時間が比較的長いのが特徴です。

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診療スタイル1人あたり時間1日患者数特徴
じっくり型15〜20分20〜25人質重視、リピート率高い
標準型10〜15分25〜35人バランス重視
効率型5〜10分35〜45人回転重視、薬処方中心

開業1年目は1日15〜20人からスタートし、2〜3年目で25〜35人を目標にするのが現実的です。

収益シミュレーション

前提条件:

  • 診療日数: 月22日
  • 再診患者比率: 80%
  • 平均診療単価: 再診5,000円、初診7,500円

ケース①:1日25人の場合(開業2年目想定)

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項目計算
初診患者5人 × 7,500円 × 22日 = 82.5万円
再診患者20人 × 5,000円 × 22日 = 220万円
月間医業収入約302万円
年間医業収入約3,630万円

ケース②:1日35人の場合(開業3年目以降想定)

←横にスクロールできます→
項目計算
初診患者7人 × 7,500円 × 22日 = 115.5万円
再診患者28人 × 5,000円 × 22日 = 308万円
月間医業収入約423万円
年間医業収入約5,080万円

経費と院長報酬

年間医業収入5,000万円の場合の目安:

←横にスクロールできます→
項目金額比率
人件費800〜1,000万円16〜20%
家賃300〜400万円6〜8%
医薬品・材料費100〜200万円2〜4%
その他経費400〜600万円8〜12%
院長報酬(税引前)2,500〜3,000万円50〜60%

心療内科は経費率が低く、院長報酬として残りやすい構造が特徴です。


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開業スケジュール・届出|準備期間と必要な手続き

開業までのスケジュール(目安:6〜12ヶ月)

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時期やるべきこと
12ヶ月前〜開業エリア調査、物件探し開始
9ヶ月前〜事業計画書作成、融資相談
6ヶ月前〜物件契約、内装設計
4ヶ月前〜内装工事、機器選定・発注
2ヶ月前〜スタッフ採用、各種届出
1ヶ月前〜内覧会、広告開始
開業保健所立入検査後に開業

主な届出・申請

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届出先届出内容時期
保健所診療所開設届開設後10日以内
厚生局保険医療機関指定申請開設届提出後
厚生局施設基準の届出指定申請と同時
税務署開業届、青色申告承認申請開業後1ヶ月以内
都道府県麻薬施用者免許申請必要に応じて

税理士からの経営アドバイス|成功するクリニックの共通点

予約制の導入は必須

心療内科経営で最も重要なのは完全予約制の導入です。

予約制のメリット:

  • 患者さんの待ち時間ストレスを軽減
  • 1日の患者数を計画的にコントロール
  • スタッフのシフト管理が容易
  • 収益予測がしやすい

キャンセル対策を徹底する

心療内科は当日キャンセル・無断キャンセルが発生しやすい診療科です。以下の対策を講じましょう:

  1. リマインド連絡の徹底: 予約前日にSMS・LINE・電話で確認
  2. キャンセルポリシーの明示: 初診時に説明し、同意書に署名
  3. キャンセル待ちリストの運用: 空き枠を有効活用
  4. 当日予約枠の設定: キャンセルに備えて一定枠を確保

キャンセル率10%以上は要注意。5%以下を目指して対策を行いましょう。

オンライン診療の活用

令和6年度改定により、オンライン診療の点数が対面診療とほぼ同等になりました。

  • 通院精神療法(情報通信機器を用いた場合): 対面と同点数
  • 通院困難な患者さんのフォローに有効
  • 初診の3割はオンラインで対応可能な時代へ

法人化のタイミング

年間医業収入が4,000〜5,000万円を超えたら、医療法人化を検討する価値があります。

法人化のメリット:

  • 所得分散による節税
  • 社会保険の選択肢拡大
  • 事業承継がスムーズ
  • 分院展開が可能

まとめ|心療内科開業は低リスク・高収益を目指せる

心療内科開業のポイントを整理します:

✅ 市場環境: メンタルヘルス需要は拡大傾向、将来性あり
✅ 初期費用: 2,000〜3,000万円と他科より低コスト
✅ 診療単価: 再診でも5,000円前後を確保可能
✅ 収益性: 経費率が低く、年収2,500〜3,000万円も現実的
✅ 経営のカギ: 完全予約制、キャンセル対策、オンライン診療活用

心療内科はリスクを抑えながら安定収益を目指せる診療科です。開業を検討されている先生は、事業計画の段階から専門家にご相談いただくことをおすすめします。


参考リンク

  • 令和6年度診療報酬改定について|厚生労働省
  • 精神・神経科診療所の運営実態|日本精神神経科診療所協会
  • 医療施設動態調査|厚生労働省

この記事は2026年2月時点の情報に基づいています。診療報酬改定等により、点数や算定要件は変更される場合があります。

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  • ペインクリニック開業ガイド2026
  • クリニック医療法人化ガイド2026
  • 泌尿器科開業ガイド2026

この記事を書いた人

辻 勝

辻 勝

会長税理士

税理士 / 行政書士

税理士法人 辻総合会計の会長。40年以上の実務経験を持ち、相続税・事業承継を専門とする。多くの医療法人・クリニックの顧問を務める。

ご注意事項

本記事の内容は、公開日時点における一般的な情報提供を目的としており、 特定の個人や法人に対する専門的なアドバイスを構成するものではありません。

税務・会計・法務等に関する具体的なご相談については、 必ず資格を持った専門家にご確認ください。 本記事の情報に基づいて行われた判断や行動により生じた損害について、 当事務所は一切の責任を負いかねます。

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